自戦記 5秒前すべりこみアウトからのセーフ
【言い訳ツイート】
このnoteの更新が滞りすぎていたたまれなくなり、言い訳がましいツイートをしてしまった。
①は他人が発表する書籍なのであるが、私が代表を務める会社「バビロン」は編集プロダクション的な仕事もするので、人様の本に関わることが多い。今回も企画・立案と補助のライターとしてお仕事をさせていただいたのだが、この週がまさに最後の追い込みの一番しんどい時期であった。
この他にも、鈴木大介プロの某スポーツ紙からのインタビュー取材立ち会いがあったり、Mリーグ関係者との打ち合わせなどもあった。
だからたぶんライター業は「間に合わないだろうな」と思っていた。打ち合わせでは「何とかします」と言ってしまったが、内心では「間に合わないよこれ絶対。仕方がないので迷惑をかけつつもギリギリ発売が遅れない程度に仕上げられるよう頑張ろう」と思っていた。「発売は遅れないけどデザイナーさん編集さんが寝られなくなったりするから、それはごめんなさい」と思っていた。
が、しかし。
何と間に合ったのだ。しかも約束の納期よりも数日早く。
それもこれも、noteの更新を犠牲にしたからで、読者の皆様のご理解に感謝したい。
これで書籍の関係者の睡眠時間は削らずに済んだのだが、自分は14日から試合前日の16日まで、3日間は毎日3時間か4時間しか寝られなかった。
15日と16日には、珍しく自分が出演する番組収録があったのだが、帰宅してから深夜まで、17日に行われる「イベント」の台本と小冊子作成に追われたから、寝る時間がとれなかったのだ。
「イベント」とは、日本プロ麻雀連盟が主催する「感謝祭」で、普段からお世話になっている関係各社の担当者さんや社長さん、著名人の皆さんをお招きした麻雀大会である。2015年から毎年やってきたが、コロナの時期は中止した。2020年から2022年までの3年間はやらなかったから、4年ぶりの開催となった。
この大会は森山茂和会長が企画したもので、心の底から日頃のご愛顧に感謝しつつも、関係をさらに深めたいという、まさに恩情とビジネス的な思惑が交錯したイベントなのである。
司会は日吉辰哉が務め、連盟の人気プロ30名とお客様30名、計60名による大規模な大会で、サイバーエージェント、電通、テレビ朝日、U-NEXTなど、現在「Mリーグ」のチームオーナーになっている企業の方々もずっとお招きしている。
Mリーグに所属するプロは半数が連盟員だ。もちろん、そのプロたちが魅力的だからオーナー企業に選んでいただいたというの一番の理由である。が、それに加えて「感謝祭」のようなイベントがあって、その場でプロ雀士の「人となり」を直に知っていただき、実際に対局した時の「ムード」を味わってもらえたことも一助になっているのではないか。企画した側の手前みそ発言ではあるが、正直、私はそう思っているのだ。
【新橋から巣鴨へ】
有難いことに、最近、麻雀界では行事が増えていて、スケジュールに空きがない。
感謝祭も、仕方がないということで「JPMLWRCリーグ」の本戦トーナメントにぶつけての開催となった。
で、困ったのが私と古橋崇志である。感謝祭のスタッフでありながら、本戦トーナメント勝ち残りが濃厚だった。
私は、本戦トーナメントの権利を放棄しようかと言ったのだが、森山会長が「それはダメだ」とおっしゃった。
しかし、感謝祭には、加賀まりこさん、瀬川瑛子さん、森川ジョージさんら、私がお誘いした人たちがいらっしゃる。多忙な方を呼んでおいて自分がいないというのは、あり得ない。
それに、こういったイベントをやると、必ず不測の事態が起こる。
もう何回もやってきたイベントなので、実務面ではスタッフたちが勝手にやってくれるぐらいにはなった。私なんか、いても邪魔なだけで無意味に近い。でも、予想していなかったトラブルに強いのは私なのである。馬場裕一プロが作った「麻雀企画集団バビロン」はトラブルの連続であったから、私はむしろそういう時にこそ脳みそが働き始めるような体質になっているのだ。
やむを得ないということで、会長が瀬戸熊直樹競技部長にお願いして、本戦トーナメントの開始時刻を1時間遅らせていただいた。
これで私は「感謝祭」に行って、始まるまではスタッフとして働き、無事にスタートしたら巣鴨の本部道場に行って試合に出ることができる。
慌ただしくはあるが、そういうことには慣れている。プロ連盟のためであるとはいえ、私と古橋のために時間をずらしていただき、本当に感謝した。
そしてやはり、トラブルはあった。
会場の卓が1つ壊れていたのである。
それをここで細かく書く必要はないので省略するが、私と山井弘プロで何とかして解決した。
やっぱり「来ておいてよかった」となった。
大会は無事に始まり、13時すぎには会場を後にし、巣鴨へ向かうことができた。
ずっとバタバタしており、朝から何も食べていなかったので、軽く食事をとって5分前には道場が入っているビルの下に到着した。
少し頭痛があったので、隣の薬局で鎮痛剤を買おうかと思ったが、レジが混んでいたので諦めた。
道場のエレベーターは渋滞することで有名だ。7階に行くだけなのだが、長い時は2分ぐらいかかることもある。
やっぱり今日もなかなか降りてこない。
やばいなこれ。
乗った時には3分前だ。しかも、後ろにご高齢の方々がたくさんいる。
間に合うかな、これ。
ガヤガヤ、ガヤガヤ。お婆さんたちは呑気だ。たぶんだけど、ずっと時間に追われず、ムーミン谷の住人のようにのんびりしてきたのだ。
だから、自分が降りるべき階に着いてもゆっくりとしか動かない。
1分前。
やばいけど、早くしろとも言えない。この人たちは何も悪くないのである。
やっぱり、7階まで階段を駆け上がるべきだったか。
後悔し始めた。
でもまだ45秒ある。次が7階だから、まあ間に合うだろう。
すると、一度降りたはずの人がまた乗ってきた。
「間違えちゃった」
しばくぞ。
神戸在住時代のクセが出そうになったが、こらえた。
何階ですか?
「5階」
うそやん。
本当、ギリギリだった。
10秒前、9、8、7、6秒前に7階についた。
藤原隆弘プロの「時間すぎちゃったな」という声が聞こえる。
5秒前、ギリギリセーフですよね?
「え? いやもうオーバーしているけど」
え?
道場の時計を見ると、確かに5秒ぐらい過ぎている。
でも、私の携帯電話では確かに6秒前だったのだ。
うそやん。可哀想すぎるやん、おれ。連盟のために睡眠時間削って資料作って。そりゃ、ギャラはいくらかもらえるかもしれないけど。タイトル戦の朝から運営手伝ってトラブル対処して。ケネス徳田のシャツがはみ出ているのを注意して逆ギレされて。
それで道場の時計が10秒進んでいるせいで遅刻って、可哀想すぎるやん、おれ。
遅刻はペナルティですか?
「いや、失格だよ」
うそやん。
私の腕時計はセイコーのアストロンという電波時計だ。10年ぐらいずっと正確に時刻を示してきた。電波時計だから当たり前だ。道場の時計も電波時計だが、室内にあるとずれやすい。
藤原さん、時報と道場の時計を比べてみてください。
「そうだな、確かにそうだ。審議します」
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