若手プロに知ってもらいたいこと⑧ 麻雀のプロを定義する
【おれたちはプロじゃないの?】
本当は麻雀最強戦ファイナルが終わった瞬間、すぐに「麻雀のプロの定義」について書くつもりでした。
少し時間がたってしまいましたが、きっかけはこのカネポン(金本晃麻雀最強戦実行委員長で近代麻雀編集長)のツイートです。
炎上したがりのカネポンが変なことを言うと、ボヤ程度のプチ炎上が起こります。みんながモヤモヤするような中途半端な意見を発するからそうなるのです。
若手プロの皆さんの中にも「え? じゃあおれ誰からも応援されてないしプロじゃないってこと?」と、少しスネてしまった人がいるかもしれません。
でも、普通に「麻雀のプロ」を定義すると「プロ団体に所属する者」になると思います。
だから若手プロの皆さんは、れっきとした「麻雀のプロ」で間違いはありません。
ただ、物事の意味には種類や段階があります。
実際問題「プロと言えるのかどうか」については、意見が分かれるところだから、カネポンもああいったツイートをしたのだと思います。
【Mリーガーだけがプロ?】
読者の皆さんもよくご存じだと思いますが、麻雀のプロほど試験のハードルが低いジャンルはないでしょう。
「その競技にちゃんと参加できる」ことだけが条件と言っても過言ではありません。
つまり、ルールを把握していて、ゲームの進行の妨げにならない程度のスピードで打つことができれば、誰でもプロになれてしまいます。
他の競技やスポーツでは、その「最低限の参加資格」を持った競技者の中から上位の力を持った人がプロとなります。
将棋や囲碁であれば、最終的にプロになる決め手は実戦の成績です。
ところが、麻雀でそれをやってしまうと、たとえば滝沢和典プロが最高位戦日本プロ麻雀協会のテストに落ちてしまったようなことが起こります。
麻雀はどこまでいっても「運」との戦いを避けられないので、プロ団体側も「運」が悪いと、将来とんでもない大スター選手になる人を逃してしまいかねないのです。
試合結果で合格させるのであれば、天鳳などのインターネット麻雀の成績2,000試合とかを使うのが良いとは思いますが、そうすると「本当にその人が打ったの?」という問題が出てきます。
仕方がないので、競技に参加できる力のある人を入会させ、あとは野となれ山となれ、というような世界になっています。
したがって、プロになったからといってお給料が出るわけではなく、賞金も安いので、麻雀を打つだけで生活できる人はほとんどいません。
似たようなプロの在り方は他のジャンルにもたくさんあります。ゴルフやボクシングなどは、ライセンスをとるだけで、あとは個人や所属ジムの努力次第で金を稼ぎます。
その点では麻雀界とあまり変わりません。
ただ、トップクラスになった時の収入に雲泥の差があります。ボクシングやゴルフが億単位であるのに対し、麻雀の賞金はせいぜい数百万円が限界です。
誰とは言いませんが、私が知るプロ雀士の中で、もっとも年収が多かった人は、だいたい5千万円ぐらいでした。
でもそれは賞金として獲得したものではなく、タレント業に近い意味合いの収入がメインです。
麻雀を打つことによって得られる対局料や賞金だけで生活できている人は、残念ながら1人もいませんでした。少なくとも数年前まではそうでした。
しかしMリーグが発足してから話は変わります。
最低年俸の400万円しか収入がないとしたら、東京都内の中心部で生活するにはギリギリではありますが「麻雀を打つだけで食える」という「夢」を実現したことになります。厳密に言えば「麻雀界が実現させた」のではなく、藤田晋社長にしてもらっただけではありますが。
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