プロ麻雀界近代史 プロ協会のメディア対策
【プロ連盟との蜜月】
土井泰昭さんは「日本プロ麻雀協会」を設立すると、どんどん新しいことを始めた。
元いた団体「最高位戦日本プロ麻雀協会」の理事会で否決されたことを、まるで意趣返しのように実現していった。
土井さんが最高位戦の理事会で提案したのは主に以下の3点だった。
①女流合格制度と女流最高位戦を創設する
②団体名称を「最高位戦日本プロ麻雀協会」から「日本プロ麻雀協会」へ変更する
③毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)と麻雀ゲーム事業において提携する
②はいきなり実現したわけだが、そのおかげで今もややこしいことになっている。「最高位戦」に続く部分と「プロ協会」の名称がまったく同じなのだから、かなり紛らわしいと言えるだろう。
①は「最高位戦」が先手を打った。一度は否決されたアイデアだったが、プロ協会が着手するよりも早く「女流最高位戦」が始まったのだ。
言い出しっぺの土井さんは、それよりも1年遅れて「女流雀王戦」をスタートさせた。初代女王は現在日本プロ麻雀連盟に所属している手塚紗掬だ。
③も実行に移された。「覇王」という麻雀ゲームのシリーズが発売され、それに合わせてタイトル戦が開催された。その大会の牌譜がゲームに収録されたのだが、できたてホヤホヤの団体であり、スター選手が育っていなかったので、土井さんはプロ連盟に助けを求めた。
このあたりが土井さんのうまさである。
土井さんは独立した後、プロ連盟、特に森山茂和さんに頻繁に連絡を入れ相談に乗ってもらっていた。当時の森山さんは、まだ副会長になる前だったが、土井さんは森山さんの「能力」に目をつけ、しきりに企画面などの相談をしていたのだった。
たとえば「覇王というゲームの企画があるのですが、団体を立ち上げたばかりでまだ若手しかいないので困っています。ギャラはあまり出せないのですが、出演していだけませんか」と森山さんにお願いすれば「困った時はお互い様」と言って引き受けてくれる。しかも、小島武夫さんや伊藤優孝さん、荒正義さんら、連盟のスター選手にも声をかけて、連れてきてくれる。それも、破格のギャラで。
信じられないかもしれないが、学生アルバイトの報酬ぐらいのギャラで彼らは出演していた。
自分たちもプロ連盟を立ち上げた時は苦労したから、土井さんも大変だろうということで協力したのだった。
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