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天然王子ワタル(文・黒木真生)

【仲林圭からのタレコミ】

 「麻雀最強戦2021最強新世代」の出場選手について事前に情報を集めるのも私の仕事のひとつであるが、麻雀王子ワタルこと尻無濱航(しりなしはま わたる)プロについては仲林圭プロにいろいろと教えてもらった。
 仲林は嬉々として私にワタルの天然エピソードを送ってきてくれた。

尻無浜はカタカナが書けません。

バファリンをバフアーリン、ティッシュをティシューと書きます。

家にあるものしりとりというゲームをズームでしていて、「ね」が回ってきたわたるは「ねこの餌」を出して来ました。わたるに猫飼ってるの?って聞いたら、いや飼ってないっすと言ってました。

普段は半導体の営業をしているわたるに半導体って何か知ってるの?って聞いたら「半分のやつっすよ」って返ってきました。

4月ぐらいに松本と仲林のLINEグループに「忘年会しましょうよ!」って言うラインが来ました。

 以上の話を聞いて、なんともったいないことかと思った。

 というのは、数年前、ワタルが「モンド新人戦」に出た時にはぜんぜんその面白さが伝わってきていなかったのである。

 ただのイケメンとしか認識されておらず、イケメンで天然で麻雀強い、という三拍子が揃っていることがわからなかった。

 もちろん、天然がわかっていたら「モンド杯」に出られていたわけではないと思うが、もしかしたら何かが起きていたかもしれないのだ。

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【現場でのワタル】

 現場に現れたワタルは期待通りの天然王子だった。

 アシスタントの中田花奈さんの女性マネージャーさんはとても良い人である。どれぐらい良い人かと言うと、カメラマンの寺内さんの「すべる話」を最後まで聞いて笑ってあげるぐらいの良い人なのだ。話の真ん中に行く前にオチがわかってしまう話を、しかも自分でゲラゲラ笑いながら話すという、まったく話術がなってない寺内さん。それをにこやかに聞いてあげる菩薩のようなマネージャーさんなのである。

 寺内さんは無料のところだけ読んで、いつも私に文句を言ってくるので、ここまでは無料にしておく。寺内さん反省してください。

 そんな優しいマネージャーさんが控室の近くのロビー的なところに座ってパソコンでお仕事をされていた。

 その背後から近づいたワタルは「すいません、あの、お湯ってありますかね?」と聞いた。お湯? これから最強戦の晴れ舞台で戦う前にお湯って何?

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