原えりかプロのやり方はアリなの?
【組織票はアリなのか】
ついに「麻雀最強戦」から新人発掘的な大会がなくなってしまった。男女とも、である。理由は、他の大会に押し出されたからだ。
最強戦を通じて人気者になった人や結果を残した人、Mリーガーなど、主催者である竹書房が出したいプロ雀士たちの数が増えており、新人発掘の枠を取ることができなくなったのだ。
これはこれで仕方がないのだが、主催者としては「新しいスター選手」が欲しいのも事実だ。
放送するたびに視聴者の数を増やさなければならないが、将来のことも考えなければならない。二兎を追いながら、どうしても二兎とも捕まえたいという強欲なカネポンこと金本晃麻雀最強戦実行委員長は考えた。
たった1人ではあるけれど、人気投票で決めよう! と。
それで始まったのが以下の企画である。
「近代麻雀」4月1日発売号と5月1日発売号の読者アンケート用紙を葉書に貼り付けて投票する方式なのだが、早くも4月19日に中間発表があった。
このタイミングで首位に立っていたのが原えりかプロだったことで、Twitterがざわざわした。
原さんは日本プロ麻雀連盟の新人で、大阪に住んでいる。「Twitterのフォロワー数が2,000人に満たない原さんが首位で、フォロワー数12万人超の篠原冴美プロが2位というのが不自然」という声や「組織票だろ」とか「連盟の闇」などの発言がネット上を賑わせた。
連盟の闇というのは冗談としても、組織票ということは考えられる。原さんをバックアップする「組織」があるのかどうか分からないが、仮に組織票だった場合どうなるのか? カネポンに聞いてみた。
別に良いですよっていうか、どうしようもないですよね? 聞く意味あるんですか?
まあ、確かにそうである。「組織票は禁止です」と言ったとしても、どうやってそれを守らせるのか? そもそも組織票の定義は何なのか?
聞いてみて自分で自分をアホだと思ったが、よく考えたらこれは組織票とかではなくて「金にモノを言わせるのがありかなしか」という話だった。
「1人1票まで」という制限があるなら「組織票」がモノを言う。しかし、近代麻雀1冊につき1票なのだから、モノを言うのは「金」だ。
金本さん、たとえば誰かが近代麻雀を数百冊とか購入して、まとめて1人に投票するのはありなの?
別に良いですよっていうか、どうしようもないですよね? 聞く意味あるんですか?
まったく同じ答えが返ってきた。
確かにそうである。近代麻雀編集部としては「読者に投票してもらいたい」という姿勢でやってはいるが「近代麻雀購入は1人1冊までです」という「購入禁止」などできるわけがない。
やはり私はアホな質問をしたのだ。
仮に金持ちの女性プロがいて、自分で近代麻雀を多数購入して自分で投票したとしても「その人の自由」だ。
そうやって自分で自分に投票することが「プロとしてどうなの?」という話は置いておいて、自由といえば自由。要するに票数で1位になったら最強戦に出られるということに変わりはないのである。
【金にモノを言わせていいのか】
結局、原さんは篠原さんにアッサリと逆転されてしまう。
4月26日に発表された途中経過の記事にあるように、40票近い差で2位に落ちた。
のであるが、5月2日、とんでもないツイートが原さんから発せられた。
パッと見、数百冊の近代麻雀とおぼしき雑誌の山が映っている。つまり原さんは篠原さんを「マクりにいきます」と宣言したわけだ。
これに対しては賛否両論あるだろう。当たり前だ。私の個人的な好き嫌いで言うと、お金で票を買って何かしようとするのは「嫌い」だ。だから賛否両論の「否」の意見もものすごく分かる。
ただ、この件に限らず、物事というのはそんなに単純じゃない。
こうなることを予見していなかった近代麻雀が悪いというのも正論だが単純すぎる。
金にモノを言わせて近代麻雀を買い占めた原さんが卑怯だというのも単純すぎる。
と、エラそうに言っているが、私も原さんに会って直接話を聞くまでは、かなり単純に考えていた。
というか、実は連盟の女性プロたちには個人的な意見として以下の文章を送っていた。
要するに、竹書房というかカネポンに媚びを売るために大切な数千円を使わなくていいですよ、ということが言いたかったのである。
が、原さんから「やってもいいですか」という連絡がきた。
厳密に言うと、地方の女性プロにはこの文章が届いていなくて、すでにある程度やってしまった後に「やってはいけない」という噂を聞いて不安になって連絡してきたのである。
私は決して「やってはいけない」とは言っていない。
どうしてもやりたい人は止めません、と言っているから大丈夫ですよと返信した。
が、やり方を間違えると彼女にとってマイナスになるし、プロ連盟全体にもマイナスがあるかもしれない。
私は4月20日に「フュージョン」にお邪魔することになっていたので、その際に詳しくお話を伺うことにした。
もし、彼女が人として間違った考え方をしていたなら、私はお説教するつもりであった。
【人生最大の賭け】
「最初にこの企画を見た時は『私も女流リーグに出られていればなあ』と思いました。でも私は出てなくてリストに載っていないんだから仕方ない。自分には縁がなかったんだと思いました」
「フュージョン」での仕事が終わり「たこ梅」でおでんをいただきながら話を聞いた。
原さんに言われて思い出した。確かに最初はそうだった。リストに載っている選手だけが対象だったので、原さんには参加資格がなかったのである。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?