私が麻雀ライターになれた理由
【基本中の基本】
文章を書くコツを教えてくださいと言われたことはほとんどありません。でも、日本プロ麻雀連盟の入会テスト後に行われる研修で私が講義した際、ちょっと驚いたことがありました。私が「ものを書くこと」について話し始めると、皆さんが急にメモを取り始めたのです。また、質問も多くいただいたので、結構、興味のある人が多いんだなと。もう「プロ雀士は書けなければ食えない」という時代は終わったと思っていたので意外でした。
ただ、偉そうに講義した割には、私が話せたのは「センテンスを短くした方が読みやすくなりますよ」とか「同じ単語を繰り返し使わない方が良いですよ」ぐらいのことでした。
たとえばですが、冒頭の文は最初、以下のように書いていました。
これまで「文章を書くコツを教えてください」と、面と向かって言われたことはほとんどありませんでした。でも、日本プロ麻雀連盟のプロテスト後に行われる研修で、私が前に出て何かしら話す機会があり、その際に、文章を書くことについて話し始めると、皆さんが急にメモを取り始めたことがありました。
このブロックだけで「文章」という単語が2回出ていますね。「プロ」という言葉も2回あります。片方は固有名詞なので仕方がないのですが、私はテストの方を「入会テスト」と変えてしまいました。
また、全体的に文章も短くしました。余計なことを少しでも省くようにして、なるだけ短くなるように心がけています。
特に句読点の句点(。)と句点の間を短くすることを、自分に言い聞かせながら書いています。
と、本当にこれぐらいしか言えないんです。そしてこれも、馬場裕一さんや担当編集者さんから教えてもらったことで、たぶん基本中の基本なのだと思います。
思います、というのは、それぐらい自分も分からないまま何かを書いて、それでお金をもらってしまっているということです。
【作文が苦手だった】
そもそも私は学校で作文を書かされることがとても嫌でした。
国語の成績は常に良くて、大学入試を迎える頃には現代文はだいたい満点でした。でも、それは日本語の文法がちゃんと分かっているとか、書いてあることを素直に読み取って書き写す能力が高かっただけで、文章力があったわけではないのです。
一番困ったのは「何を書けば面白いと思われるか分からない」ということでした。
そう考えてしまうと、まったく鉛筆を握った手が動かないのです。
夏休みの思い出を書けと言われても、大したことはしていないし。そもそも、他人の旅行の思い出話とかを読んで面白いのかな? と考えてしまい、ぜんぜん書けませんでした。
書くしかないので、面白さは諦めて、ただつらつらと事実を書きなぐっていましたが、もしかしたら、ここにヒントがあるのかもしれません。
「なにを書けば面白いと思われるのだろうか?」ということを考えている時点で、ちょっとだけ合格なのかもしれません。麻雀ライターという限定的な著述業であるとはいえ、商業ライターのはしくれであることは事実です。「読者のため」に書くことを心掛けるのが当たり前で、そこからスタートするのが条件というか、常識なのだと思います。
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