若手プロに知ってもらいたいこと⑨ オリ打ちはダメなの?
【醍醐さんのオリ打ちはダメなの?】
最強戦ファイナルでの醍醐大プロの[二萬]オリ打ちについて書いてくれとカネポンこと炎上位・金本晃「近代麻雀」編集長が言ってきます。
だいぶ時間が経っていて、醍醐さん本人がnoteで解説しているしもう十分でしょう。だいたい、あの局面でそう打ったのは勝つために仕方ないと思うので書きたくないのですが、カネポンはしつこい。
競技者としてあのオリ打ちがベターかもしれないけど、では「あれに文句を言うファンが間違っているのか」とか「多くのプロがああやってオリ打ちを繰り返していたらどうなると思いますか?」とか、いろいろ言ってくるのです。
そしてそれを、これからの麻雀界を担う若手プロたちが知りたがっているはずだと言うんです。そう言われると私も、書かざるを得なくなります。
まず、オリ打ちとは何かと言うと、打ち手本人が「放銃したくない」と考え、自分の手牌の都合的には悪い選択をした結果、放銃してしまうことを言います。
醍醐さんは東3局の親番で、役牌をポンしてドラの[東]が暗刻でした。が、自分のツモ番はなくなっており、下家の一瀬由梨プロがハイテイをツモるのみです。そしてその一瀬プロがリーチを掛けていて、手の中は危険牌しかありませんでした。
結局、醍醐さんはその中でも最もマシな牌である[二萬]を切って放銃となります。
マシというのは「当たる可能性が低い」というだけでなく「当たった場合でも点数はさほど高くなさそう」ということも加味しての「マシ」です。
このあたりの詳しい話については、醍醐さん本人の記事を読んでください。
で、実際にリーチピンフで済みましたし、醍醐さんはこの試合で勝ち残りを決めたので、競技者としての目的は達成しました。
しかし、一部の人に「オリ打ちはダサい」という概念があるのかもしれません。
Twitterやコメント欄などで、この放銃に批判的な声があるのも見ました。
また、私も見ていて「あれ? 打っちゃうんだ?」とも思いました。
一応は形がテンパイしており、高い手で、しかも親です。頑張ってテンパイを維持すれば連荘することができます。もしかしたら、ハイテイで一瀬さんが[三萬]か[5ソー]をツモ切るかもしれません。そうしたら親のハネ満で18,000点です。
とまあ、見ている方は勝手な、都合の良いことばかり思うわけですよ。
もしこれが、一瀬さんのリーチが[三萬]とか[5ソー]あるいは[東]がアタリなら「醍醐さん放銃を神回避」とか言うのかもしれません。
しかし、実際に打っている方から言わせてもらうと普通のプレーであって「神回避」などではないし、ここで頑張ってテンパイ維持をしようとする打ち方では「命がいくらあっても足りない」と思うでしょう。
危険牌のどれかを切ってそれが通るかどうか、目をつぶって勝負! というのは、本当に大バクチです。
そして、そのリターンである親の連荘も、必ずしも「絶対に欲しい」というレベルのものではありません。2着残りのルールで、醍醐さんは現状で2着だからです。
ましてや、ハイテイでアガれるかも? なんて言うのは「完全に敗者の思考」です。福本伸行先生の漫画で、無理な勝負に行ってしまい、手ひどくやられて「ぐにゃー」となってしまう、アレになっちゃう人の思考なのです。
【じゃあオリ打ちしても良いの?】
じゃあ、プロ雀士は人前で麻雀を打つ際に「オリ打ち上等」で良いのでしょうか?
この時の醍醐さんのオリ打ちも肯定されるべきなのでしょうか?
今度は、選手目線ではなく、俯瞰して見る立場で言わせてもらうと「やっぱりダメ」です。ダメなんです。
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