将棋棋士・鈴木大介九段 プロ連盟入りの舞台裏
【牌の音で育った将棋指し】
記者会見での「手出しツモ切りなどはすべて覚えておられますか」という質問に対し、鈴木大介さんがどう答えたか。私はこの回答を聞いて、やっぱり大介さんは「麻雀打ち」と「人前に出るプロ」の両方の能力の高さを持った人なんだなあと感心した。
5月11日の14時から「コナミクリエイティブセンター銀座」で記者会見が行われた。
日本将棋連盟の理事である大介さんが日本プロ麻雀連盟に入ることになったので、そのことを発表したのであった。
大介さんは将棋指しなのだから、子供の頃からずっと将棋をやってきたし、プロを目指して実際にプロになったのだから、とにかく将棋の勉強をするのが仕事であった。
だが、若い頃から大介さんは麻雀が好きで、町田の「牌の音」に通っていた時期があった。
ご存知の人も多いと思うが「牌の音」はあの伝説の雀鬼・桜井章一氏のお店で「雀鬼会」の道場であった。つまり、ただの麻雀屋さんに入り浸っていたのではなくて、ある意味で桜井さんに弟子入りしたような状態だったわけである。
その大介さんが2019年に「麻雀最強位」のタイトルを獲得した。著名人の予選で優勝し、ファイナルに勝ち進んだ後は、プロ雀士たちをパワーでねじ伏せて勝った。彼の麻雀のバックボーンには雀鬼流があるということがハッキリと分かる強い勝ち方だった。
以来、最強戦の常連になった。最近は著名人の枠ではなく、プロが出場する大会に出てもらっている。
最強戦出場前の稽古の相手をさせていただいたこともあるし、最強戦終了後の打ち上げで麻雀談義を交わさせていただいたこともあった。
だから私にとって大介さんはすでに「プロ級、それもトップクラスの打ち手」であり、今回のプロ入りについて話を伺った時も、驚きはあったがネガティブな部分は一切なかった。とにかく嬉しかった。
不安だったのは「公益社団法人日本将棋連盟の理事である」という一点だった。その立場で麻雀のプロと掛け持ちして大丈夫なの? それだけが心配だった。
【ハードスケジュールだった記者会見】
4月14日の14時、新宿区内のホテルのラウンジで大介さんと私と森山茂和会長の3人でお会いした。
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