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中止になった2002大会のおかげ

 フィンランドのヘルシンキ空港で乗り換えの飛行機を待っている間に前回の続きを書く。
 限られた時間の中で書いているので、尻切れトンボになってしまうかもしれないがご容赦願いたい。

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【男気を見せた野口氏】

 「2002世界麻雀選手権大会」中止の連絡を受けた野口恭一郎氏は「しょうがないか…」と諦めかけていた。
 だが、側近の名木宏之氏が待ったをかけた。
 名木氏は編集者であり作家なのだが、野口氏とは昔からの付き合いで、野口氏のことを「オヤジ」と呼んで慕っていた。

「オヤジ、今さら中止にはできませんぜ」

「そんなこと言ったって君、しょうがないでしょう…」
 
「国内でも多くのアマチュア団体、プロ団体を巻き込んで予選を行いました。海外にも大会を楽しみにしているプレーヤーがたくさんいます。ここはオヤジが男気を見せる時ですぜ」

「えええ? そう言われてもねえ、うーん…」

「オヤジ、やりましょう!」

 名木さんは私の目の前で、勝手なことを言っていた。
 でも、野口氏にそうやって言えるのは、唯一、この人だけという感じだった。

 結局、名木さんは野口氏を説得してしまった。

 野口氏はすぐに九段下のホテルグランドパレスを抑えた。
 かつてはプロ野球のドラフト会議に使用され、金大中事件の舞台にもなった歴史あるホテルだ。竹書房の目と鼻の先ということもあり、かつての麻雀最強戦はグランドパレスが使われていた。竹書房がワンフロア借り切って新年会をやっていたこともある。

 結構な大きさの会場を数日借り切った。たとえ以前からお付き合いがあり、多少は負けてくれるにしても、それなりの金額がかかったに違いない。
 私の勝手な見積もりではあるが、最低でも2千万円ぐらいは野口氏が負担したのではないだろうか。

果たして、野口氏が男気を出したおかげで、史上初の麻雀世界大会が東京九段下で開催されることになったのであった。

野口恭一郎会長


【日本ルールはヤキトリあり?】

 中国政府が定めた国際公式ルールの大会だったが、優勝したのは日本人プロ雀士の初音舞だった。
 初音さんはこれを機に新聞連載を持ったり、民放バラエティ番組に出演するなど、一気にステップアップした。

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