ケネス徳田伝説⑦ そら熱いでしょう
【紙コップ事件】
滝沢和典プロがこちらに近づいてきて「あの…この前、モンドの収録現場でのことなんですけど。スタッフとか演者みんなで立ち話しながら打ち合わせしていて」と言った。
滝沢は無口で、必要以外のことはあまりしゃべらない。テンション的に、何か問題でもあったのかと身構えて続きを聞いた。
「その時にケネスさんが話を聞きながら、うんうんって相槌打って、紙コップをいじってたんですよね。中にはホットコーヒー入ってるから、大丈夫かなって心配してたんですけど」
あ、これは違う系統の話だなと気づいた。また徳田が何かをやらかしたのだろう。
「よく見たら、紙コップを指でむしって、自分で穴をあけてるんですよ。手前側に。あ、これ、このまま飲んだら危ないなって思ったら、止める間もなく飲んじゃって、あっつい! って叫んで、服がコーヒーでビシャビシャになってて」
滝沢は嬉しそうに「そりゃ、そうなるよって思ったら、可哀想だけど笑っちゃって」と言った。
そらそうなるよ。穴の開いたコップで熱いコーヒーを飲もうとしたら、傾けたとたん、服にかかって「熱い!」となるのは当然である。しかも、自分でその穴を開けたのだから仕方がない。
【ティーバッグ事件】
似たようなことはしょっちゅうある。夏目坂スタジオにはウォーターサーバが置いてあり、当然、熱湯も出せる。
そのサーバの横に事務局の扉があり、私はその中で打ち合わせをしていた。
「あっつうう! あっつー! あっつー!」
徳田の叫び声が聞こえてきた。
その横を三田晋也プロが通り、ドアを開けて入ってきた。
どうしたの? 私が聞くと、三田は半笑いで答えた。
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