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競技麻雀が行き着く先はどこ?(後編)

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【打牌時間制限問題をどうするか】

 麻雀を「競技」にするために最も必要なのは「時間」の問題を解決することであろう。

 麻雀を「頭で考える競技」だと定義するなら、皆で長く考える方向に持っていった方が「より理想に近づく」のかもしれない。
 これまで「対局中に筆記用具を使ってはならない」というルールを聞いたことがなかったが、だったら推理を整理するために紙に書き出しても良いのではないか。そう考える人がいてもおかしくはない。

 実際、2021年度の麻雀最強戦全日本プロ選手権の予選では「勝ち上がり条件」をこと細かに書き出す選手がいた。「下家には何点まで放銃して良い」とかも書いていたが、そこまでやりだしたらキリがないので、2022年シーズンから同大会では「対局中の筆記用具使用は禁止」とした。
 もし、試合中に相手の手出しやツモ切り、あるいは打牌から推測できる形などをメモするのも「競技の一部だ」ということになったら、半荘1回あたり3時間以上かかるようになるだろう。
 「麻雀は推理のゲームだ」ということを麻雀をつきつめていくと「何時間かかってもいいから、より考えるゲームにしよう」という流れができるかもしれない。
 
 「いやいや、麻雀は短い時間の中で推理を働かせる頭脳ゲームだろう」という考え方も、もちろんある。今はその過渡期だと思うが、少し前まではそうだった。長考は悪だったのだ。
 もし「長考を悪」としたまま競技化するならば「長考とは何秒以上か」を定義しなければならず、打牌の時間制限を設ける必要が出てくる。
 ただ、これには金が要る。半荘1回3時間の麻雀も会場費などがかかるが、毎回「5秒以内」とか決めて、タイムキーパーや審判員がついてやるともっと金が必要になるのだ。
 自動卓に時間制限の機能を実装するなどのアイデアも『「打牌が遅い問題」はスポーツマンシップが解決する』に書いたが、これもかなりの金がかかる。それを全国の麻雀荘が購入してくれるのなら開発されてもおかしくはないが、そうはならないだろう。
 一部の競技麻雀マニアのために、メーカーは億単位の金をかけて開発したりはしないのだ。

 以上は両極端な例ではあるが、今のような曖昧な状態でずっと「競技麻雀」をやっていける保証はない。いつかは「麻雀をどうしたいのか」を決める必要が生じるだろう。
 
 ちなみに、時間の話はすでに『「打牌が遅い問題」はスポーツマンシップが解決する』に書いていたので、気になる方はそちらを読んでいただきたい。
 また、現状ではインターネット麻雀でしか競技化は難しいという話も、この時すでに書いていた。同じ話を何回も書いてしまって恐縮だが、ご容赦願いたい。
 
 ちなみに今回は、チョンボの話と「プロは小手返し禁止以上のことを言い出してはならない理由」について書く。

【チョンボは何点マイナスが適当か】

 本当に参加する全選手に「スポーツマン精神」があれば良いのだが、そうとは限らないのが「誰でも参加できる競技」である。
 否、プロ限定の麻雀対局でも「わざとチョンボしてOK」な時代が来てもおかしくはない。
 たとえばリーチ後につかんだ牌が親の役満仕掛けの危険牌だったとする。自分の読みではほぼ間違いなくこれがアタリだ。48,000点を放銃したら、ラスの順位点と合わせて約8万点のマイナスだ。それなら、チョンボのマイナス2万点の方がはるかに安い。
 「すみません、チョンボでお願いします」
 こういうことだってあり得る。
 
 世の中は徐々に「ルールに反しなければ大丈夫」という解釈をする人が増えつつある。近い将来それが多数派になることは目に見えている。
 
 また「Mリーグ」は団体競技であり「チームのため」という「美しい理由」がある。
 だから以前なら少しやりづらかった「差し込み」も逆に「好プレー」になっていった。


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