プロ雀士超技巧伝⑪「なんでリャンメンを落としてペンチャンでアガるのよ」【文・須田良規】

＜リーグ戦の堀くんを楽しもう＞

暑い日が続きます。
Ｍトーナメントも終了して、次のＭリーグが待ち遠しい限りですね。

それでも僕たち日本プロ麻雀協会のリーグ戦は、外の天気と同じくらい灼熱の戦いが行われています。
Ｍリーグのオフシーズンは、推し選手のこうした違うフィールドでの対局を楽しんでいきたいですね。

さてさて、２０２４年７月１３日（土）に行われた第２３期雀王戦Ａ１リーグ第３節Ｃ卓。
これに出場していた堀慎吾選手は、またも異様な麻雀をしていました。

たぶん地球上にこの選択をする人はあまりいないんじゃないかなぁと思います。
まあちょっと見てみましょう。

３回戦のオーラスです。

西家角谷ヨウスケが10000点持ちのラス目。
北家堀慎吾は10200点持ちの３着目です。

上二人は離れていますので、角谷と堀はアガリ競争で３着取りを狙います。

角谷は白ポン、7mチー出しの打5pとしたところ。

これで5p切ってイーシャンテンですね。

ちなみにトップ目は角谷の上家で南家の菊地俊介。
前に盲腸で３回入院しています。

菊地くんは２着目小川裕之と3400点差なので、角谷が3900未満なら差し込みたいところです。
堀くんとしてはかなり嫌ですね。
この7m鳴かせもアシスト気味でした。

で、角谷はさっき切った5pをまた持ってきて少し止まりますが──

まあいらんよな、と切ります。２枚目の5pね。

そしてその直後の堀ぽよです。

おお、ペン7pを落とせばリャンメンリャンメンのピンフイーシャンテンですね。

堀くんは角谷より200点上の３着目。
できればリーチ棒なんか出さずに、ダマでこっそり役ありでアガりたいですよね。

＜なぜかリャンメンを落とす堀＞

ここです。

がびーん。

堀ぽよは4p切りですって。

43pって落とすの？
まあ25pは確かに５枚見えてはいるけれど。

ん？ちょっと待ってよ、だいたい角谷くんって756mチーして、最終手出し5pだったよね？

もしテンパってたら最終手出しのマタギって危ないんだよ。俺知ってるよ。

そこに47pと36pの２スジ通すってこと？それはキツイぜ。

ションパイの南を持ってきて、予定通りの打3p。
しれっと5pマタギを２スジ通しましたね？
同卓してたらみんな首を傾げそうです。

おおっと、その南を重ねましたよ！

場にはゼロ、しかしこれをポンして役ありテンパイにはなりますね。
ここか！ここでペンチャン落としか！

ぱこーん。

堀くんは少々考えて、その南をツモ切り。

そんなにペン7pが好きなのかよ！！！！！！

これは結構わからないですよね。解説も困っていました。

次巡にツモ9sで南の続け切り。

4p3p南南と妙な捨て牌をしています。

＜ついに堀くんがテンパった＞

そして堀くんはツモ3s。
テンパイです。ペン7p。役なし。ノミ手。ろくでもないですよ。

リーチじゃいっ！

マジですかいな。
さっきまでさんざん俺が役ありにしてリーチ棒出したくないって言ったじゃないですか。
これで瞬間ラス落ちですよ堀くん。
あーあ。

画面に燦然と輝くREACH。

これ違うぞ協会。麻雀のリーチはRiichiです。
最近WORLD RIICHI Online Team Leagueってやってるしね。

ともあれみんな「なんじゃそのリーチ・・・」と思っている表情です。
堀くんリーチ棒出すと着落ちなのわかってますからね。

＜魔法のようなアガリ＞

そしてHoriのRiichiを受けた角谷の一発目。

おお、テンパりました。

7pか9pを切りますね。

あ、あれ・・・？
堀くんの捨て牌は、4p3p南南です。

角谷くんはスジで7pを切ります。
そりゃそう。
無スジの9pなんか切れません。

堀「RON」

ええ・・・。
角谷くんの参った表情。
マジかよと。

一発裏で5200と余計なボーナスまでついてしまいましたが、
このアガリ自体そうそう見れますかね。

リャンメン落として、南を落として、全然場況がいいわけでもないペン7pで、
角谷くんの手から7pが余っての出アガリです。

吸い寄せられるような、魔法みたいなアガリですね。

＜どういう理由があったのか＞

さてさて、こちらはさすがに解説実況も気になったらしく、
終わってから堀くんに聞いてました。

ここからは僕がそれをまとめて、自分なりに補完して理由を書きます。
例によって150円ですが、どうぞよろしくお願いします。
たくさん売れて堀くんの本を出すために！どうか！
著者名は堀慎吾研究会にしようかな・・・。

「まずですね、角谷さんが5p切ったときに、