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選ばれなかった女たち:夏川夏未(なつかわなつみ)
「天才」ではない天才デザイナー雀士
期待と、重圧
「さすが天才!」
麻雀界でデザイナーをしていて、何度言われたかわからない。褒められることは嬉しいけれど、一方で、「麻雀界」というデザインがあまり浸透していない世界だから言われることだな、と思う。
「夏川夏未」、アマチュアの頃は「なつかわ」として活動を始めてから、もう3年になる。
麻雀界ではデザインの外注という概念が少なく、まだグッズクリエイターも少なかった時代に、はじめは麻雀プロの名前ロゴをメイン作品として飛び込んだ。
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静岡のテレビ局に勤めていて、地方局という場所柄、仕事が少なかったこともあり、空いた時間に毎日プロの名前ロゴを作っていた。
ほとんど毎日更新をしていた甲斐もあって、徐々に「麻雀関係でデザインをやっている人がいる」という存在として認知してもらえるようになった。自分で言うのもなんだが、麻雀界でのデザイン先駆者的な立ち位置にいると思っている。
次第にロゴやグッズ、告知画像など、いろんな形で依頼をいただけるようになった。「Mリーグ関係の仕事がやりたい!」なんて言ってみたりして。仕事をこなすことが、反応をもらえることが楽しかった。
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ここ最近は麻雀界でもデザインを意識する人が増えたように思うし、イベント告知の画像などもどんどんクオリティが上がっているように思う。クリエイターの数も、何倍にも増えた。
過去に依頼をいただいた方が、別のところでリニューアルをしているのを見て、つらくなったし「もっと頑張らなくては」と思うこともあった。自分のレベルが上がらないことに対する苦しさも出てくるようになった。
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綺麗じゃないし、不完全
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