
オンラインカジノの違法性について【文・卓上のハッケヨイ】
初めまして、卓上のハッケヨイと申します。麻雀と賭博を心より愛する一介の肥満です。この度は金ポン編集長にお招きいただき一席をぶつ運びとなりました。
何事か失礼がありましてもデブのたわごととご笑納ください。
今、お笑いが『オンラインカジノ』で揺れている。M1王者令和ロマンの高比良くるまを含めた10名ほどのタレントに対して警視庁保安課が「オンランカジノで賭博をしていたのではないか」と任意聴取を行ったと報じられた。そしてこの「オンラインカジノで賭博をしていたこと」が事実であるとくるま氏本人が自身のYouTubeチャンネルの謝罪動画で明らかにしている。
本人がプレイしていたと申告する時期としては2019年から2020年にかけて、コロナ禍で家から出られない人々に向けて爆発的にオンラインカジノ需要が高まった時期と重なる。動画で語られて、他メディアでも再三取り上げられているのは「違法という認識はなかった」という点だ。
(大学時代の知人から)海外の口座から送金しそれでオンラインカジノをやるのは違法ではないという説明を受けまして。なおかつ当時ネット上で広告が上がっていた、そういうサイトの広告があったというものありまして。こちらとしても違法ではないという認識をしてしまいオンラインカジノをしておりました。
日本国内で公営以外の賭博が違法であるのは道行くバカでも知っている話だ。それをなぜ慶應出のインテリ芸人が「違法ではない」と誤認してしまったのか。これはくるま氏が「合法である」という表現を使っていない事にヒントがあると僕は考える。
そしてその考えはほんの少し前まで正しかったんだろうとも思っている。僕は専門家ではない一介の肥満にすぎないが、分かる限りで話していこう。
なんで とばくは つかまる の?
前提として公営ではない賭博は全て違法で、国内には建前として民営の賭博施設は一切存在しない。例えば雀荘で行われている麻雀は例え些少の金品がやり取りされていようと「遊興の範囲内」であるとして黙認されている。
そもそも誰が「ここで雀荘を営業して良いよ」と許認可しているのか、それは地域を所轄する警察署の生活安全課(いわゆるセイアン)のお巡りさん達だ。彼らがホールや雀荘を「賭博じゃなくて遊びをする施設ですよ」と認めて営業許可を出している。今回事情聴取に当たった警視庁保安課はその親玉に当たる部署である。組織図を抜粋すると以下の様になる。

保安課(風俗・不法就労・賭博担当)
風俗営業係(課内庶務、風俗営業許可)
査察係(風俗営業への査察)
保安第1係(賭博犯罪捜査)
保安第2係(外国人労働者雇用関係捜査)
風紀第1係(風俗事犯捜査)
風紀第2係(売春関係捜査)
こういう話題を出すと「賭博の何が悪いんだ、被害者なんて誰もいないじゃないか」と違法なことが自体おかしいんじゃないかと考える御仁が必ず居らっしゃるだろう。そう、まさその通り。被害者はどこにもいない。だから賭博は被害者なき犯罪(victimless crime)として分類される。別に訴え出る被害者はいないんだけれどおおっぴらに営業されてみんなががのめり込むとだんだん真面目に働かなくなって世の中が悪くなってしまう、法律用語で言うと勤労の美風や公共の良俗が損なわれていく。言ってしまえば社会のモラルが被害を被る犯罪である。その仲間に売春や不法移民がある。
そしてこれら一切の犯罪を、警視庁保安課は担当している。社会のモラルを守る部署だ。賭博に関する罪の規定として単純な賭博罪、いつもやってると常習賭博罪、みんなが遊ぶ賭場を開いていると賭博場開帳図利罪が適用される。
社会のモラルが受ける被害は定量化不能なただの匙加減なので、つまり「あんまりにもオンラインカジノがのさばっているから捕まえるよ」というのが今回の話のスタートラインである。
だったら なんで のさばる の?
運営会社はどうだ

「じゃあこいつらこんなに堂々と活動しているんだ、胴元であるオンラインカジノサイトの運営会社を根こそぎ捕まえちまえばいいじゃねえか」というとそうはいかない。国内で展開していれば賭博場開帳図利という罪で逮捕できるが、オンラインカジノ自体はその営業する国の許認可を受けている正真正銘合法のカジノなのだ。まずここで出てくるのが「オンラインカジノは(営業している側は)合法」という理屈である。どれだけ捕まえたくとも警察はここに手を出す訳にはいかない。なんせ合法だから。
CMを流すのはどうだ
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?