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【無料記事】「麻雀のプロとは何か?」木原浩一

麻雀のプロとは何か?


好きな麻雀に携わる仕事で食っていく――

サラリーマンを辞めた20代後半、そう決めた頃に麻雀プロ団体の試験を受けてみることにしました。いつか何かの役に立つときが来るかもしれない、そんなふんわりとした動機で、まるで運転免許証を取るかのような軽いノリで受験を決めたのです。 

麻雀プロに関する事前知識はほとんどありませんでした。いざ合格してふたを開けてみると、月に1、2回「プロリーグ戦」という名の付く麻雀の試合に出場し、その都度会費を支払います。特にイベントらしきものもなく、ただそれだけを繰り返す日々でした。

これは、思っていたのとは違うな・・・

どう考えても、この活動が有意義だとは思えません。麻雀プロになって1年が過ぎた頃には、すでに退会を考え始めていました。いよいよ辞めようという時、新しい麻雀プロ団体発足のニュースが耳に入ってきたのです。

 「麻雀プロが対局料で生計を立てられるような団体を目指す」

 そう、それだ! そういうのを求めていたんだ! すぐに退会手続きをし、新団体のプロ試験を受けることにしました。その新団体が、現在も所属している「日本プロ麻雀協会」です。 

発足当初は公約通り、Bリーグ以上の対局には「対局料」が発生していました。もしこのまま右肩上がりなら今頃は……。しかし、残念ながら計画は早々に頓挫し、以前の団体と同じく会費を納めてただ麻雀の試合に出るだけの活動に戻ってしまいました。

それでも、今度は辞める気にはなりませんでした。最初は「何が悲しくて、こんな仏頂面した連中と卓を囲まねばならぬのか・・・」と思っていた競技の麻雀でしたが、勝利条件を満たした達成感や満足度、フリー雀荘でもネット麻雀でも味わえない麻雀の魅力に、少しずつ惹かれていったのです。

いつしかプロ入りした動機も完全に忘れ、競技麻雀で結果を残すことがプロ活動を続けるモチベーションに変わってしまいました。 

麻雀のプロとは?

ひとつだけ確かなのは、麻雀プロ団体の試験に合格した者が「麻雀プロ」と呼ばれているだけということです。個人的な見解としては、「麻雀プロ」とはそれ以上でも以下でもありません。

故に、「麻雀プロ」という呼称に特別深い意味はなく、一般に語られる「プロとアマの違い」とは、それぞれが勝手に思い描く「理想のプロ像」の押し付けに過ぎないと思います。

麻雀プロ団体を退会する人は毎年多くいます。最初の団体を退会した自分のように、理想と現実のギャップを感じて辞めていった人も少なくないでしょう。

無名の元麻雀プロが、辞めた後に愚痴っぽく麻雀プロ団体の在り方を批判する。そんな元プロに共感する人が同調する――

麻雀が強いだけなら、他にも掃いて捨てるほどいるでしょう。抜きんでて強いわけでもなく傑出した才能もなく特別なスキルも持っていない。それでいて何ひとつ変わろうともせず理想を叶える方法を探すわけでもない

たいして努力もしようとせず、何ら工夫をしようともせず、ただ誰かが手を差し伸べてくれるのを待っているだけの人が、一体どの口で、一体何に対して不満を抱くというのでしょうか?

「ただ麻雀の試合に出場するだけの活動になってしまった――」と書きましたが、そうなってしまったのは麻雀プロ団体や周りの麻雀プロのせいではなく、理想を叶えようとする活動意欲の低さが原因だと言えるでしょう。

プロになったからといって特別何かが変わるわけではありません。もし理想を叶えるためにプロになったのなら、変わらなければならなかったのは自分自身だったのです。


(「強者だけが知っている 麻雀の真理48」未掲載原稿より)


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