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魔神の父のМリーグ観戦記Ⅱ ⑩ 2024年2月16日 渋川故郷に帰る

1 舐められるのも長所

「近代麻雀」の「編集長の本音」で凄い言葉を見つけた。

舐められるのも長所

これはたまげた。だって「なめられる」というのは人間にとって決して耐えられない行為だからだ。「なめる」を辞書で引くと、「馬鹿にする・軽んじる」と出ている。しかし「なめる」という行為は、そんな軽い言葉では表現できない。相手の存在を根底から揺るがすものなのだ。

「アカギ(福本伸行)」に、イカサマをしたアカギに、ヤクザの親分が威嚇する場面がある。

これは決して大げさな話ではない。
別にヤクザに限らず「なめられた」傷は深く、その恨み・憎しみは数倍の大きさとなる。この私だって小さい頃学校帰り他所の兄ちゃん達になぶられて家に帰り、悔しさの余り棒を持ってそいつらを探し回った覚えもある。
三角関係を初めとする男女間のもめ事や居酒屋や雀荘でのトラブル、果ては国際紛争まで、その根底には「なめられた」という思いが厳然と存在する場合が多い。

思い出すのは、麻雀で麻雀新撰組の古川凱章さんが「麻雀をなめるな‼」と叫んだこと。ただし凱章さんは余計な言葉をその前につけた。いわく、

「相手をなめても麻雀をなめるな‼」

かつて畑正憲さんに敗れた若手雀士が敗戦の弁でこう言った。

「『相手をなめても麻雀をなめるな‼』という言葉を忘れてしまってました」

激怒したのは畑さん。

「そうか私はなめられていたのか‼」

そして畑さんは新しい言葉を作った。

「相手も麻雀もなめてはいけない」

かように「なめられる」ということがとんでもない中にあって、冒頭の「舐められるのも長所」とは何と思い切った言葉か。
これはどういう意味?しばし熟考。

逆に考えてみよう。

「舐められないのは短所」。
うん、これで分かった。
「舐められない人」→隙が無い、近づき難い、相手を緊張させる、等々。確かにそうだ。とするとその逆は、隙があるから近づきやすく一緒に居るとリラックスできる、ってことだ。とすると少しは舐められてみるのも良いのかもしれない。

これってもしかしたらサクラナイツの楽屋での渋川のイメージなのだろうか。渋川は「プライドの無い男」(魔神の嫁の応援記)でもあるし。ふとそんなことを考えたりする。

その渋川が結婚後初めて広島に帰ってくる。

2 渋川故郷に帰る

きっかけは94歳の私の父にyoutubeで渋川の姿を見せたことだ。父は渋川に会いたいと言い、私はそれを渋川に伝えた。渋川は二つ返事で帰ると言った。

結構じいちゃん思いの奴なんだ。

ばあちゃんにも渋川が帰ることを話した。ばあちゃんはじいちゃんが会社の付き合いで仕方なく麻雀をしなければならなくなった時、一晩泣き明かしたという。
だから渋川が麻雀プロに成るという時は大変な騒ぎだったが、その後の活躍で台所にポスターを貼るほど応援してくれていた。

2月14日、渋川と奥さんの林香さんが我が家にやってきた。

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