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女流プロの教科書~なぜさくら美緒は人気なのか?【文・千嶋辰治】

 群雄割拠の女流プロ戦国時代。
 厳しい競争を勝ち抜いてスターダムに上ったプロは、どのように人の心を掴んできたのか?
 今、売れているプロの魅力に迫る。


難しい「ゲストイベント」

 全国津々浦々で行われているゲストイベント。
 麻雀店は「麻雀をする場所」であるから、「ゲストと麻雀を楽しむ」のが来店イベントの本来の姿。
 しかし、中には
「麻雀の腕には自信がないけれど、プロと麻雀がしてみたい」
「麻雀もいいけれど、単にプロとお話がしたい」
という方もいて、客側の熱量も様々。
 このイベントは客側の温度差が大きい場合が多く、本当に「難しい」ものだと私は思う。

 私のことで恐縮だが、以前にとあるゲストプロと真剣に麻雀を楽しみたいという目的でお店を訪れた時のこと。
 同卓した客はとにかくゲストプロと話がしたい、という「追っかけ」で、ゲームが始まるなり、追っかけの客はゲストプロに話しかけ始めた。
 それ自体に私は何ら不快感を覚えなかったが、あまりに話が長いことや、ゲストプロ自身もその客と話し込んでしまい、摸打が極端に遅くなってゲームの進行がしばしば止まる状況になってしまった。

 これはさすがに…とスタッフを呼び、ゲームを進められるように促してと耳打ちをすると、
 「あぁ、いつものことなので」
 というつれない返事。

 私の行くべきお店じゃなかったし、会うべきプロでもなかったのかな。
 そう思い、そのお店とプロのいる場へは足が向かなくなった。

 麻雀店としては、新たなお客さんが来てくれたら…という期待や、常連客や従業員に対してのサービスとしてイベントを開催していると思うのだが、客同士のニーズの違い、さらには店やゲストプロの対応の不味さから、こうして逆効果になるケースは意外に多い様に思う。

 そんな経験をした直後のことだった。

 のちに「ゲストプロの女王」と称される、さくら美緒プロと出会ったのは。

さくら美緒が考える「ゲストの仕事」とは?

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