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「最高位・Mリーガー、その先にある『最高の石井一馬』になるために」最高位戦日本プロ麻雀協会・石井一馬

最高位戦日本プロ麻雀協会の頂点を決める戦い「最高位決定戦」は、11月3日から始まる。現在連覇中の竹内元太に挑むのは、最高位戴冠3期という団体屈指の実績を残している村上淳、そして今回が初の決定戦となる石井一馬・坂井秀隆という顔ぶれになった。


石井一馬

石井一馬は、20代の頃から麻雀マスターズ・王位・最高位戦Classicといったビッグタイトルを獲得し、実力者として名を馳せてきていたが、これまで最高位決定戦とは縁がなかった。人生の半分を麻雀プロとして歩んできた男にとって、今回の決定戦はどのようなものなのだろうか。そして、麻雀打ち・石井一馬としての究極の目標は。


■勝った要因の一つは、醍醐大の麻雀から学びを得たこと

石井は、今期のA1リーグを全体2位で終え、決定戦進出を決めた。通算6期目となるトップリーグで最も勝ったシーズンとなったが、今期は石井の麻雀には、ある変化があったらしい。

醍醐さんの麻雀から学びを得たんですよ。僕、麻雀の動画って基本的には自分と対戦する相手のものしか見ないんですけど、去年A2で昇級できそうだとなったときに、来年対戦する人の麻雀も見ておこうと思って、A1リーグの対局も全部見るようにしたんですよね。そこで醍醐さんの麻雀を見ていて、自分にないものがたくさんあるなと感じて、動画を見て参考にしました。

具体的には、リーチ判断と待ち取りです。あとはテンパイ外しとか。醍醐さんって、愚形のリーチのみとか、山にあるかよく分からないカンチャン待ちのリーチとかをほとんどしないんですよ。ダメな時はダメと割り切って、リーチのみのカンチャン待ちとかダマにして、好形になりそうなところがあったら外して、という感じです。

あとは押し引きもすごくネガティブで、Mリーグを見ている方なら分かると思いますけど、かなりオリるんですよ。最高位戦ルールだとトップを取るよりラスを回避したほうがいいよな、という思考がたぶん醍醐さんの中にあるんでしょうね。

自分はリーグ戦で降級を2回しているので、なんで降級するんだろうと思っていたんです。醍醐さんは最高位戦のリーグ戦で一番勝っているんですけど、そういう醍醐さんみたいな打ち方のほうが降級しづらいのかなと思って、今期はそれを取り入れてみました。今の麻雀界って、A1リーグに居続けることにもかなり価値があるんです。Mリーガーの選出もそうだし、タイトル戦のシードもあるので、まずはA1に残るためにもそういうものを取り入れたほうがいいのかなと思いました」

かつて世に出た頃の石井の麻雀は押し引きがハッキリした、キレのある麻雀が持ち味だった。麻雀は、打ち方を変えると一時負ける時期が訪れる、というのが定説だが、石井は勝った。

「学んだとはいえ、全てを同じにしようとしている訳ではなくて、要素を取り入れたって感じです。たとえば、親リーチが入った直後に自分もテンパイ、でも出ていく牌は無スジ、みたいなときに、以前の僕は結構追っかけリーチをしていたんですけど、今は前よりもリスクとリターン、特にリスクを考えて判断するようになりました。

醍醐さんって、先切りも持ち味じゃないですか。先切りって受け入れを狭く構えることなので、昔は悪だとされていましたよね。でも、実際に先切りすることによってアガリ率が上がることもあると思うので、そういうところも前より考えています」

■決定戦で失うものはない

今回の最高位決定戦について、相手の印象を聞いてみた。

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