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特別対談/土田浩翔×朝倉康心③「Mリーグの解説で大事なのはエンタメか、選手の意図か?」


■解説者として考えることは

-解説者として、土田さんはエンターテインメント性を重視、朝倉さんは選手の姿勢と打牌を重視しているように見えますが、朝倉さんはエンターテインメント性についてはどれくらい考えていますか。
 
朝倉 もちろん考えています。マニアックになりすぎてもよくないと思いますし、ただ選手がおざなりになるのはよくないですから、一般の人が見ても楽しめるテンションで、選手心理とか、難しい局面の意図とかは拾おうとしています。
 
-土田さんから見て、朝倉さんの解説はいかがでしょうか。
 
土田 角が取れてきて、年々良くなってきていると思います。実況の求めている路線に乗っかりながらも自分の色を出すところができてきていますよね。昔は自分の色を出すことに重心があって、かみ合っていないように聞こえるところもありましたから。
 
朝倉 昔は麻雀のことをひたすら細かく話そうとしていましたからね。特にMリーグでは、それはよくないと思います。
 
-これからこうしたら、という部分は。
 
土田 もう少し麻雀じゃない話も入れていったらいいんじゃないかと思いますね。一般化しやすい話を入れていくと、さらに良くなるのではないかと。
 
朝倉 一般的な話に置き換えて、ということですよね。あと、個人的に思うのは、やっぱり(タイトルの)実績があったほうが考えも言いやすかったり、発言の説得力も増すんじゃないか、っていうことですね。僕とか河野直也さんとかはそこを気にしているところがあると思うので。

土田浩翔

土田 視聴者は「タイトルを獲っていないからこの人は説得力がない」とは思わないですよ。目の前にある映像を見て話を聞いているだけだから、別に気にしないほうがいいと思う。それはちょっとコアな層、細かい人が揶揄するくらいで、9割の視聴者は背景なんか気にしないです。解説者が分かりやすくて楽しい話をしてくれたらOK、そこに少し「ほーっ」と思う話が入ればいいと思ってもらえるはずだから、言いたいこと、話したいことを話したほうがいいと思うけどね。
 
朝倉 自分の立場をわきまえてバランスを取って話しているつもりではいます。最近は自然体で、無理なく実況の方と合わせながらやれていると思うので、もう少し練習したいですね。
 
-朝倉さんから見て土田さんの解説は。
 
朝倉 スケールと、実績があるからだけではないですけど、説得力がありますよね。土田さんが座って言っていることの安心感は、見ている人にすごくあると思います。選手より一段高いところから見ているくらいの存在感がありながら楽しい話をして、その一方で卓に入り込んだめちゃくちゃ細かい話もしていて、そのギャップも面白いですし、対局、番組の雰囲気を作りますよね。
 
土田 褒められましたね。恥ずかしいですね(笑)。
 
朝倉 僕は、解説は人によって違っていいし、僕が土田さんのまねをしても上手くいかないと思うので、いいところは取り入れたいですけど、今はいろいろな人が解説席にいるので、それでいいのかなと。拙い解説にさえならならなければ。
 
-逆に、土田さんの解説で直してほしいところは。

朝倉 たまにですけど、選手側は「こうしたほうが得だ」と考えた一打に対して逆の視点でバッサリ切っていることがありますよね。本当にダメな一打か、考えて打った際どい一打か、ただ下手な一打なら僕はいいと思いますけど、そうじゃないとかわいそうだと思いますね。

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