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再検討【文・佐々木寿人】

「しかし凄いね、寿人は」
「何を褒めてたんすか?」
「その逆だよ。あの切りはないだろう」
「うーん。オレも切りそうだけどなあ」

 “た”は、赤坂ドリブンズの鈴木たろう選手、そして“ご”は、U-NEXT Piratesの小林剛選手だ。
 この会話の流れでピンときた方もいるだろう。
 二人は10月24日の第2試合、東2局について話しているのだ。

 またか。
 内心そう思った。
 試合直後、東スポから取材を受けたばかりの一局だ。
 確かその時も、担当記者の表情には疑問符が浮かんでいたような記憶がある。
 ならばもう一度振り返ってみようではないか。
 私はあの局、本当に満貫のアガリを逃したのだろうか。

 問題の局面は、4巡目にツモ三ときたところ。
 私は小考ののち、これをツモ切った。

 この選択には賛否両論というより、否片論(そんな言葉は存在しないだろうが)の嵐だった。
 大方は、鳴いても満貫が見える手牌なのにツモ切りはないという意見だったが、実はその“鳴いても”というところに落とし穴があると私は考えていた。
 仮にここからを切ってタンヤオに向かった場合、⑦には当然仕掛けを入れるとして、⑤をスルーできるだろうか。

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