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VS村上淳、坂本大志、園田賢【文・友添敏之】

最高峰の研究会「VS研」

村上淳、坂本大志、園田賢。

こんな3人相手に打てることって、最高位決定戦でもなかなか無い。夢のメンツと言っても過言ではない。
全員A1リーガー、それに対して、わたくし友添はまだB1リーガー。

友添敏之

最高位を3回獲ってMリーガーでもある村上さん
同じく赤坂ドリブンズ所属、ドラフト1位の園田さん
2年前の最高位でもあり麻雀研究の鬼、坂本さん
このうち1人と打てるだけでもめっちゃありがたいのに、なんと!同時に4半荘も打ってきましたよっと!!!

そんな夢みたいなことある!?
いやー、それがあるんすよね。
最高位戦内研究会の最高峰VS研だけ、この素晴らしい研究会に所属させてもらっているからこその、この垂涎の卓組。
つい先日、5/23(月)に全12節のうちの第8節が行われた。

上記3名に加えて、浅井裕介、有賀一宏、佐藤聖誠、曽木達志、醍醐大、竹内元太、山崎淑弥、吉田光太、それと僕。
この12名で4半荘を12節、A1リーグ想定の全48半荘を打って最高位決定戦に進める3位以内を目指すという、まさに最高位を獲るための研究会。

これは黙っておこうかと思ってたけど、書き出したら言いたくて仕方なくなってしまったのでまずこの画像を貼ろうと思う。

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研究すること、そしてここでの成長を活かして最高位に近付くことが目的なので、ここで勝つこと自体にはそんなに意味ないんやけど…
なんと、友添がトップです!大ニュースです!

さて、言いたいこと言ったので本題行きます。

勉強になったことがたくさんあったんやけど、今日は村上さん、園田さん、坂本さんそれぞれ1つずつエピソードを挙げようと思う。

1. 村上さんの完璧な差し込み

これは僕が下手こいたせいでピンチを招いた局面なんだけど、やり直しができた結果、村上さんの技ありの差し込みでお互いが得をした話っす。

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これはとても特殊な状況下。
国士無双をアガった僕はルンルン気分で、そしてサクサクと局を流しまくっていった。
ラス前もかなり見え見えのタンヤオだったけど、村上さんから差し込み気味で(真っすぐ行きつつアタってもいいよって手つきで)捨てられた6sで加点し、オーラスを迎えて点数状況はこうだった。


東家園田 31400点
南家友添 67900点
西家村上 32700点
北家坂本 ▲12000点

2巡目にを仕掛けて…

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7巡目にはこの十分形から3pをチーして聴牌した。
5m1-4m待ちだ。(ここでの待ち取りどっちが良いかは置いといて)
「これももう俺のアガりだなー、楽勝!」と思ってたけど、けっこう長引いてジリジリしだした12巡目にやっちゃったんっすね。

ここにツモ2s

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みなさんどうしますか?

「ん?なんのこと?」とか、
25sに変えるってこと?」
って声も聞こえてきそうですが、実はこれはやるべきことは1つしかなくて、正解は2s手出しなんです。


ポイントは村上さんとそのけんさんの点数差。

東家園田 31400点
南家友添 67900点
西家村上 32700点
北家坂本 ▲12000点

2人は激しい2着争いをしていて、その差はたった1300点
親のそのけんさんはビハインドもある上に連荘しなきゃいけない親なのでかなり不利なんだけど、村上さんからすると何としてもこの局で終わりたい。
僕にアガってほしい。なんなら差し込みしてでも終わりたいところ。
そんな村上さんが僕に対して考えることって、どこの待ちなのかってことと、さらに一番気になっているのは“友添の手が何点なのか”ってことなんすね。
簡単に言うと、1000点なら差し込みOK、2000点以上ならそれができんってこと。

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そんな目線になって考えてみると、染め手じゃなさそうな僕の手は生きてる唯一の字牌であるで放銃しない限りは、あとはドラの有無が焦点になる。
立てられている7牌の中にドラの8mが組み込まれていなければ差し込めることになる。
では、友添がドラを持っているかどうか、聴牌していることを前提として、見えている範囲から読むことはできるでしょうか?
1つ言えるのは、雀頭ではない可能性が高いかなということ。

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2副露目をする直前の6巡目に北家が切ったドラをポンしてないからです。
雀頭だけどポンしないケースもあるにはあるけどパターンが少ないことと、ここまでダントツだと打点を上げにいく可能性が高まるかなというのもある。
(村上さんに差し込んでもらうために、高い手に見せないためにあえてスルーする人はいるかもしれないけど)
では、シュンツとして持っているケースについてはどうだろう。

これは恐らく読むことは不可能。

ここに出ている情報だけでは、友添が8mを持っているかどうかを読み切るのは難しいと思う。
では、村上さんは差し込めないんだろうか?
んなことないんすねこれが。
実は、ある条件が整えば差し込むことができるんです。それは…
「友添の完成メンツがどこなのか読めた時に限り、中と6~9m以外は差し込める。」
ってこと。もうちょい分かりやすく言うと、
「出来メンツが678mか789mじゃないことが分かったら、ドラ周り以外は差し込める」
とも言える。

ここまで前提の話を説明した上で12巡目の友添の手牌に戻ると…

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ここでツモ切りをすると何も起こりません。
村上さんは差し込みするのが難しい。
ただ、手出しで2sをするとどうでしょう?

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今回、これまた直前に1sを北家が切っていることもあって、1s対子が否定されていています。
友添は6巡目に4sを切っているので、単独で2sをこの巡目に持っていることは考えづらいことから、手出しの2sは空切りかスライドである可能性が高いと読めます。
すると、さっき言ってた「条件が整えば差し込むことができる」ってとこの、出来メンツが何なのかってハードルをクリアすることができるのです!
あんまりないケースだけど、手牌のメンツ構成を聴牌している側からバラすことができるのです。
そうすることで友添の側からしたら「ほーら、ドラに絡む牌と中以外は1000点ポッキリですよー。おいでおいで~」って親以外に対して囁いてるのと同じことなんすね。

ちょっと特殊なケースだけど、ここまではそう難しくないロジックで組み立てられる。
僕もそれはわかる。
なのに!
言うは易し行うは難し!
わかるはずなのに、現実世界の友添は2sを高速でツモ切りしていたのです。オーマイガッ!
切った瞬間に「うわっ!これめちゃくちゃミスったやん!まずいまずいまずいまずい!!!」と汗が吹き出しました。
早く決着しないと唯一怖い親からリーチや仕掛けが入って差し込みはおろか、僕自身も降りなきゃいけない場面がやってきそう。
と思っていた矢先にドラの8m持ってきて、まあこれは切るんやけど、マンズめっちゃ高いそのけんさんに対してヒヤッとしたし、もうとにかく、ツモ切りしてしまった2sを超後悔してた。
そしたらね。なんとですよ。
そんな友添の前に14巡目、1sという天使が舞い降りたのです。フワッと。

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「あぁ、ありがとう。。。。」
と思いながら、僕は4sを切りしました。
その直後、村上さんは少考するかしないか、全然時間をかけずに打3m
そして次巡に打1mでフィニッシュ。

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ああ村上淳

もう、上記思考をずー―――っとしていて、僕からのメッセージを待ってたんですね。
だから、出来メンツが読めた瞬間に当たる可能性の高い牌をスムーズに切ってきたわけです。
(実際はくっつき聴牌形からの食い伸ばしでピンズ聴牌になってることもまあまああるけど、自分の喰いタンイーシャンテンを壊さずに差し込める可能性のある牌から切っていったというのもある)

村上さんは完璧やったけど、僕の12巡目ツモ切りがピンチを招き、しかし14巡目に舞い降りた天使のおかげで救われたお話。
出来メンツをバラした方が良いケースってのはたまーに、だけど重要な局面で存在するので、ぜひ皆さんも考えてみてください。

では次。

2.坂本さんの見え見え喰いタンを理牌で読みをずらした技

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写真のアガり形を見て、ん?と思う人もいるかもしれない。

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