降ろしそこねた荷── 松本吉弘が越える慚悔(ざんかい)の夜 文・須田良規
7月17日(日)に行われた、麻雀最強戦2022男子プロ因縁の抗争。
その予選A卓のオーラス
点数状況は、
東家・松本吉弘 30500
南家・古本和宏 11700
西家・原佑典 24100
北家・白鳥翔 32700
となっていた。
供託は1本、南4局2本場。
周知の通り、この予選卓は上位2名が通過。
3着目の原は、トップ目白鳥と8600差、2着目の松本と6400差である。
供託があるので原はそれぞれと7600差、5400差を詰めるアガリをすればよく、2本場なので800・1600以上のツモや3200以上の直撃で足りる。松本からは2300以上。
親の松本は流局して伏せれば通過であるが、ギリギリまでは原を突き放す加点、もしくは原のアガリを潰す手を目指す必要があった。
そして松本の手は10巡目にこうなっていた。
原への現物は【2s】だけ。
【2m】を切る選択肢はまずなかった。
というのは、【1p】と【6m】がすでに河に3枚走っていて、アガリになった場合は234三色の可能性が高い。
松本は流局したら伏せたいし、ここで相手の条件を楽にするリーチはできない。
【2m】を切るとダマテンは1500か2900しかできないが、それならテンパイ時にダマ7700か12000になるようにしたいのだ。
そして【5m】の全体への危険度も考えると、今ここで5mを切ってしまうのもありだろうか?
ただ、先にツモ【1p】でピンフのみになったとしても、それは緊急回避でアガれる形として採用したい。
【5m】切りのツモ【1p】だけは役なしでそれができない。
松本が長考する。
万が一の原テンパイも警戒して、現物の【2s】切りか──?
【2s】か、【8s】か、【5m】か──。
松本が逃がしたのは、間を取って形をキープする【8s】であった。
現物の【2s】を抜くのはまだ早すぎる。
【5m】は危険だが、【8s】も同様であった。
そしてその直後。
松本を狙う原の手が、テンパイに到達する。
【5-8m】待ちのタンピンドラ1。
これは他の形によっては【5-8s】受けになることもあるので、松本の迷いもうなずけるだろう。
【5m】も【8s】も危険スジであった。
さて、原はツモはもちろんOK。
【8m】は三色のマンガンになるのでどこからでもアガれる。
【5m】は、松本か白鳥からの直撃限定である。
この瞬間、松本の【5m】はもう間に合わなくなっていた。
そして、【8m】の方は古本の手にアンコになり、山から消える。
原が、さらにドラの【6p】を持ってきた。ここで待ち取りを考える。
【3-6-9p】も悪くない。
【3p】の5200はどこから出てもよく(2本場で5800+1000)、【9p】は二人の直撃限定。
場には【9p】が2枚出ているきりで、見た目7枚残り。
松本が【9p】を切っているので、直撃は叶いそう。
原が選んだのは、
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