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「渡辺太が伊達朱里紗を評した『キメラ麻雀』の真意、そして二人を強者に導いたそれぞれの師匠とは」伊達朱里紗・渡辺太対談スペシャル企画(2)

近代麻雀note・Mリーガー対談スペシャル企画。異なる道のりで強さを追い求めた伊達朱里紗と渡辺太は今、同じMリーグの舞台で互いの力を競い合っている。これまで二人は、どうやって実力を磨いたのか。そして、二人が麻雀卓・麻雀牌を通じて感じた、お互いの印象は。
(全3回の2回目/#1#3へ)
[文・東川亮]


■太が憎くてしょうがない

――実際にお二人がMリーグの舞台で対戦してみて感じた、お互いの印象については。
 
 1戦目っていつだっけな。結構連続で当たった時期があって。

伊達 そうだ、11月くらいに3週連続とかで当たって、全部私が太さんのひとつ着下で、すごい怒ってたんですよ。
(11/16 太1着・伊達2着 11/23 太3着・伊達4着 11/30太2着・伊達3着)

 怒ってたの・・・?
 
伊達 「全部着下じゃねーか!」って。その後、セミファイナルで1回同卓したときもトップラスでした(4/26)。ファンの人か誰かに「4回くらい同卓して全部着下ですよ」って教えられて、もう悔しくって、憎くてしょうがないですね。
 
 現在形だった・・・。

――太さんには、その印象はありましたか。
 
 僕は直接対決の成績を結構気にするほうなんで、負けてないっていうのは知っていました。
 
伊達 そうだ、太さんがデータを見せてきたんですよ。直対データを出している人がいて、太さんがその人からデータをいただいて、ちらっと画面を見せてきたんですよね。

 で、「なんだい?」って見てみたら、直対で私が全敗してる画面で。めちゃめちゃ意地の悪いところもあるんですよ。
 
 伊達さんファンの人に嫌われてしまいますね・・・。

■伊達の麻雀は「キメラ麻雀」

伊達 太さんが強いのって間違いないじゃないですか。でも、たまには勝てるのが麻雀なのに「悔しいなあ」みたいなところはありますね、1年間全敗っていうのは。練習会だと勝てることもありますけど、やっぱ本番中の集中力は違うとでも言いますか。

 Mリーガーは全員、あの特殊な舞台で力を発揮できるかどうかが大事で、太さんから「1年目で緊張がどうの」という話もありましたけれども、プレッシャーに押しつぶされずに普段通りのパフォーマンスが出せる方なのかなっていうのは、私は感じましたね。太さん自身が「あの舞台にビビらず、いつも通り打ちたい」みたいなことを言っていて、それを実行しようとしているのが本当にすごいことで、私はそれにすごく影響を受けた部分があります。
 
 1年目、2年目はやっぱり怖がっている部分というか、それこそ自分の一挙手一投足、打牌一つひとつに何か言われるんじゃないか、みたいになっちゃっていた時期もありました。でも、太さんの麻雀への向き合い方を見て「これってゲームなんだから、怖いとかいう感情はマジでいらないな」って割り切って戦えるようになって、それは太さんのメンタリティーの影響がすごくあるなって、私は思ってます。

 恐縮でございます。僕は開幕前から人前に立つことに慣れていなくて、その部分の不安が大きかったので、そこをすごく意識してたんですよね。普段から押せ押せの麻雀なんで、大舞台で貫けるかっていうのは心配でした。

 変に日和りすぎずに、っていうのを開幕前からずっと意識してたんで、逆に押せ押せになりすぎているかもしれない部分もありましたけど、開幕の数戦でそれを貫けて、それを「面白い」って言ってもらえたのが自信にはなりました。自分としては開幕数戦が勝負どころだとは思っていたので、結果的には良かった、いいスタートにはなったかなって感じです。
 
 でも、こうやって影響を受けたなんて言ってもらえて、純粋にうれしいです。伊達さんってすごい成績を残してますけど、麻雀の内容部分に関しては凝り固まっていないというか、あんまり自分のスタイルっていうものを確立してないというか、いろんな人の良い部分を吸収するのがうまいですし、まずは試してみるタイプなんじゃないかなと話してみて感じています。

 僕はそれをよく「キメラ麻雀」って表現しているんですけど、毎シーズン麻雀が変わっていっているのをMリーグに入る前から感じていましたし、シーズン中でもそうやっていろいろ変わるというか、試してみる姿勢がすごいな、チャレンジャーだなって思いますね。実際、どうなんでしょう。

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