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「『遊戯王枠』から無敵の麻雀プロへ」豊後葵の独白

日本プロ麻雀協会・豊後葵。今でこそYouTubeチャンネル「麻雀遊戯王」での活躍からバラエティーのイメージが強いかもしれないが、かつては女流雀王のタイトルを獲得した、実力派女性プロとして知られていた。2015年の麻雀最強戦では大トップ目から親の国士無双をツモって対局者3人全員を箱下に追いやり、そのときの動画は「ブンゴ無双」として、YouTubeで数百万回の再生数を記録している。

豊後は麻雀最強戦2024「無双伝説」に出場。2年ぶりの最強戦出場に期するものはあったが、予選B卓を3位で敗退、決勝卓に進むことはできず、試合後のインタビューで涙を流した。あの涙の背景に何があったのか、そして最強戦を経て、豊後に訪れた変化とは。


■麻雀最強戦は特別な舞台

私が初めて最強戦に出たのは、まさしく「ブンゴ無双」の年、2015年でした。私が女流雀王になった年だったのですが、なぜかその年だけは「女流雀王」というだけで出場権がもらえたわけではなく、出場枠争奪戦というのがあったんです。そこで、吾妻さおりプロ、浅見真紀プロ、山脇千文美プロと対戦し、トップを取って最強戦に出場できることになりました。

そして例のブンゴ無双があって、そこから私の知名度も一気に上がったのを実感しました。だから私にとって、麻雀最強戦は他のどんな対局よりも特別なものがあります。

でも、そこから何回か出させてもらえたんですけど全然勝てなくて、一度はオファーが途切れ、そこから一昨年にまた出させてもらえたんですけど惨敗して、それでも今回また呼んでもらえました。ここ数年、実績もない私が最強戦に出られたのは、本当に普段応援してくれるファンの人たち、そして麻雀遊戯王のたくさんの視聴者のおかげでしかないと思っています。

正直、エゴサをしていて「遊戯王枠かよ」みたいな声があるのも見ました。実際、そういう形で呼ばれたことは私も重々承知していますし、そう言われるのもしょうがないことだと思っています。でも、麻雀遊戯王だって楽しいばかりじゃなくて、目に見える再生数で落ち込むこともありますし、アンチのコメントに傷つくこともあって、どちらかというと辛いことのほうが多かった。そんな中で頑張ってきて、それを認めてもらえて今回選ばれたと思っているので、「私だって頑張ってる、いいじゃん、ひいきされて枠をつかんだって」という意地の気持ちもあったんです。

ただ、だからといって来年以降もチャンスがもらえるなんて思っていません。麻雀遊戯王のプロデューサーの星野さんがそんなに甘くない、シビアなのは一緒にやっていて嫌ってほどわかっています。とにかく批判的な声を結果で跳ね返したい、そして来年以降も呼ばれるようにするためにも、今回はどうしても勝ちたかったんです。ここで結果を残さなければ、次はないと思っていました。

■満貫放銃で震えが止まった

でも、麻雀でどれだけ気合いを入れたって、それでどうにかなるものではないですよね。東1局1本場でピンフ高目イーペーコーのリーチをかけたのですが、結果は岡田さんへの満貫放銃となってしまいました。

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