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アガれないとき、アガってほしいひとにアガらせる技術・勝又健志「軍師の兵法」其ノ壱

次善の結果を見据えた選択

 麻雀は自分のアガリが一番うれしいもの。しかし、プレーヤーは4人いますから、流局を無視した単純計算で言うと、自分がアガれる確率は1/4となります。もちろん、その確率を技術で上げていくことは可能ですが、どんな強者でも、配牌とツモに恵まれなければアガることはできません。そういうときに考えるべきは「自分がアガれないときに、どのような結果になるのが望ましいか」ということです。

10月17日 第2試合 南1局3本場

Mリーグ2022-23 10/17 第2試合 南1局3本場 西家
東家:佐々木寿人28700 
南家:松本吉弘 35500 
西家:勝又健志 13400 
北家:小林剛 22400

 南1局、ラス目の状況でもらったのがこの手牌。
 反撃したいのはやまやまですが、どう考えてもここからアガれるとは思えません。そこでまずは、自分にとってどうなれば都合がいいのかを考えます。
 最悪なのが、3番手の小林剛選手のツモアガリ。自分がいっそう離れた4番手になってしまい、かなりラス率が上がってしまいます。
 一方でうれしいパターンとしては、松本吉弘選手が小林選手から12000などをアガってくれると、私が3番手に浮上できるので歓迎です。佐々木寿人 
選手が小林選手からアガるパターン
もありがたい。松本選手と寿人選手同士での横移動も、私の着順アップを考えると悪くない結果です。それらを踏まえると、私のこの局のテーマは、自分が放銃しないのは前提として、「いかに小林選手のアガリ以外で高い横移動が生まれるか」になります。

 第1打は4pから。どうせほとんどアガれないので、万が一の国士無双やチャンタ、ホンイツ、チートイツのルートは残しつつ、守備メインで進行していきます。

 小林選手の役牌ポンが入りました、これは私にとって最悪のパターンです。しかし寿人選手も4mをポン。私としては正直、小林選手が300-500をツモるより、寿人選手が満貫をツモった方がいいとまで思っていました。寿人選手のツモアガリであれば、局数も減らないですし、小林選手との点差も開かず、3位に浮上できる可能性は変わっていないからです。Mリーグは1順位で2万点分の順位点がつきますので、順位をアップさせるのは非常に大事です。

 それを踏まえて、後の進行を考えます。寿人選手は4mをポンしているので、まずはタンヤオの可能性を考えます。しかしタンヤオだとすると、7s7pをツモ切り、4mポンの手出し6mと、タンヤオに必要な中張牌をたくさん切っているのがやや不自然に見えます。そこで、役牌を使ったケースもあると考えました。

 その後、寿人選手が5pをツモ切りするタイミングで、一瞬の手迷いがありました。寿人選手はテンパイであればノータイムでバンバン切っていくタイプなので、迷っているならまだノーテンではないかと読みます。

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