「ママがそう言うんだから美咲が悪い!」マザコン男に悩む女流プロ、美咲の決断【文・和泉由希子】5
「ダメ男製造機と呼ばれてきました!
DVもニートもマザコンもいましたが、どれにしましょう!?」
素敵な連絡をくれたのは、連盟の美咲である。
自団体の後輩であるが、あまりじっくり話した事は無かった。
スレンダーな美女で、よく腹出しの洋服を着ているので、どちらかといえばイケイケなイメージだった。
一度、シンデレラファイトで麻雀してるのを見た事があるが、強気な見た目とは裏腹に、繊細で守備的な麻雀を打つ。
少々強引な手作りもするので、夢見がちなタイプかもしれない。
「いつも尽くしすぎるというか、アレコレ面倒みちゃうんですよ。出かける時には着る洋服を揃えておくし、お風呂入ってたら下着とタオルを用意しておくし。もともと普通の人でも、だんだんとダメ男にしちゃう(笑)」
分かるよ!
坂道を転がるのは簡単だからね!
どの話も面白そうであるが、マザコン話を深掘りさせて頂いた。
これまでにいない、新しいタイプのダメンズである。
〜〜〜
まだ20代半ばくらいの頃、プロになる前の話だ。
当時よく遊んでいた友人達の一人と仲良くなり、個別で会うようになった。
「彼は夜の店で働いてたんですけどね。
私と付き合うようになってすぐ、理由はなんだか忘れたけど、仕事辞めてきちゃって。」
まぁしばらく休むのも良いだろうと思って放っといたら、そのまま働かず、彼は立派なヒモになった。
「とはいえ、頼めば家事もしてくれるし、私が行きたいトコには気軽に付き合ってくれるし、そこは別に気にしてなかったんですけど。
単純にお金がね。続かなくなっちゃって。」
美咲は働いていたが、二人分の生活費を気軽に捻出できるほど潤っていたわけではなかった。
必要な物を買い与え、友人達との付き合いがあれば小遣いも渡していた。
もともとあった貯金も底をつき、家賃を滞納するようになってしまった。
「んで、数ヶ月滞納してたら、強制退去になっちゃったんですよ。出て行かなきゃいけなくて、どうしようってなってたら、彼が実家に電話して話を付けてきて。」
彼と美咲は、四国にある彼の実家に身を寄せる事になった。
いきなりの同居とか、美咲もなかなかパワフルだなと思う。
「最初は歓迎してくれてたんですよ。彼のお母さんはあまり料理が得意じゃなくて。私が作ったご飯を、美味しい美味しいって食べてくれて。」
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