Mリーガーになるためにあらゆる努力をしてきたか【文・長村大】
7月のある日、ランチのためになにげなく入ったカレー屋のモニターに流れていたのは、未曾有の大事件直後の報道番組だった。あまりのできごとに呆然とし、それでもカレーを口に運びながら、おれはふと思い出す。かの人物──凶弾に斃れた──とは、小学校、中学校、高校、大学すべて同じ経歴だった。大学の学部まで同じ経歴を持つ、似ても似つかない二人の人間。当たり前、ではあるけれど。
その翌日、おれは46回目の誕生日を迎えた。ついこの間、成人になったような気がしていたが、もう人生の半分以上を浪費してしまった。あるいは半分どころではない、かもしれない。
明日なにが起こるか、誰にもわからないのだ。
なんということのない牌の並びであるが、子の配牌13枚──つまり地和チャンスであった。地和はこれまで一回しかアガったことがないな、と思いながらツモ山に手を伸ばすも、そこにあったのは4p。
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