私設Mリーグダービー⑦ 開催1週目から盛りだくさん【文・平岡陽明】
Mリーグ開幕 大介ヤバイって!
いよいよMリーグが開幕した。
初日の2試合目。うちのチームの醍醐が登場した。
はじめが肝心。
私はありったけの元気玉を送りつつ応援した。
あまりにネットリした試合展開に熱が高まり、発熱してしまい、そのあと3日ほど寝込んだ(本当)。
醍醐はラスを引かされた。
だがメンタルが強そうな選手なのでまったく心配していない。
嘘だ。ほんとはちょっぴり心配している。醍醐のメンタルではなく、初戦でラスを引かされたことにだ。
入り方って、ほんとに大事。
頼むぞ醍醐。
それにしても、オーラスで渋川の9万単騎に振り込まなかった園田って、なんなん?
神回避もいいところだ。あれを振り込んでくれたら、醍醐は3着で終われた。
普通振るだろ、あんな9万。
なんで止まるん? てか、振ってよマジで。
(完全にオーナーの贔屓目であることは認める)
開幕初戦に話は戻る。
見ている途中から、われわれのグループLINEにタクシー貴から何通もメッセージが届いた。
「大介ヤバイって!」
「見たかこのリーチ?」
「この手の入り方はツキじゃないよ。ツキが向くように日頃から操ってるんだよ!」
雀鬼流が30年ぶりに「プロ麻雀の世界」へ殴り込みをかけたことが、嬉しくて仕方ないらしい。
大介の雀鬼流ぶりに、ネットでは非難が多かった。
集約すれば「1打目に牌効率どおり字牌を切れ」「もっと降りろ」みたいな意見だ。
ところが雀荘に巣食うオールドファンのおっさんたちに、大介人気は相当高いらしい。とくに浅草方面の雀荘では、なぜか絶大な支持率を誇るそうだ(タクシー貴ちゃん調べ)。
彼らはネットにあまり書き込まない。だからサイレント・マジョリティとも言える。
思うに、おっさんたちは、もっとドンパチやりあう麻雀がしたくてウズウズしていたのだろう。ところがMリーグを始めとした放送対局が普及したため、ぶんぶん丸で放銃すると「へた」の烙印を押される危険性が増えた。
そこに現れたのが、「放銃は善」とするヒーロー大介だ。
「先制されたら降りましょう」というのは、現代麻雀のエッセンスの1つである。
だが大介はこれを完全に無視する。
それどころか「中抜きは絶対にしない。運気が下がるから」と言って憚らない。
これに感応した選手がいた。松ヶ瀬だ。
開幕戦で大介がいけいけのリーチをかけた直後、松ヶ瀬は一発消しとも見えるポンをした。これまでの松ヶ瀬なら鳴かない手形に見えた。つまり松ヶ瀬は大介の「流れ」を恐れ、「このままだと一発でツモられる」と見越して、隠し剣を抜いたのだ。実際に松ヶ瀬が鳴かなければ、大介は一発でツモっていた。
あの瞬間に、私は第二形態を見た気がした。今まで隠していた松ヶ瀬の「流れ派」の姿を大介が目覚めさせたと言ってもいい。松ヶ瀬は今シーズン、さらなる飛躍をするだろう。
(完全にオーナーの贔屓目であることは認める)
もうひとりのニューカマー渡辺太は、堀ぽよの完全復活(完全にオーナーの贔屓目であることは認める)のあおりを食らい、3着となった。
面白かったのは、コバゴーの立直に対して、アンコの9万を落としにいって放銃した場面だ。コバゴーの捨て牌には、4万5万と並んでいた。つまり9万が危ないことは、教科書のレッスン4くらいに載っている。
そこを太はあえてアンコ落としで、3巡しのぎに行った。結果はリーのみに放銃したが、太はこれで天鳳位を3回も獲った。つまりわれわれが思っている以上に、ダブルターツ外しや、間4軒は通るのかもしれない。結果は放銃だったが、私はあのアンコ落としに「デジタル派の現在」を見た気がした。
日向藍子の、何を切る?
われわれのメンバーの意見がいちばん分かれたのは、日向のリーチに対してだった。
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