「東大はたいしたことない」と言うために東大へ【井出洋介】
「東大はたいしたことない」と言うために東大へ
今回は、あらためて僕・井出洋介という人間を知ってもらうために、過去のことをお話ししたいと思う。
東京都出身で、都立富士高校に首席で入学した。昔は「何でも一番になりたい」という性格だった。
でもそれからは麻雀とバンド活動ばかりしていて、高2の時の成績は底辺だった。高3になった時は「私立文系クラス」。東大を目指すクラスは男子ばっかりだったけど、私立クラスは女子のほうが多く、僕は少ない男子組で麻雀ばかりやっていた。
でも、受験する大学を決めるときになって、東大クラスの連中より下に見られるのが悔しくなって、自分も東大に入れば「東大だってたいしたことない」と言えると思い、東大も受けることにした。
当時の東大は、試験で半分くらいの点数を取れたら合格できた。だから僕は「半分の点数を取れるように基礎力を身につけよう」と思って勉強した。応用的なこと、難しいことには手を出さなかった。というより、そんな時間的余裕もなかったのだ。
でもその戦略がうまくいき、現役で東大に合格した。
運動の真っただ中、革マルシンパとみなされたことも
東大には合格したけど、1年生の時は何をしたいのか全くわからなかった。何しろ、勉強したいことなどなかったから、法学部でも経済学部でもなく、文学部などが中心の文科3類を受験したものの、文学にも興味はなかったのだ。
1974年当時はまだ学生運動が残っていた頃で、思想的な問題を学生同士で語り合う時間も十分あった。そこで「新左翼」などの存在を知り、内ゲバという言葉も知ったが、彼らの「自分たちの主張をわからないやつは殲滅すべきだ」という考え方にはついていけなかった。本当に暴力的で、キャンパス内で殺人まであったのだ。
でも、新左翼の友人と仲良かったばっかりに、いつの間にか革マルのシンパとして僕の名前がリストに載っていたようだ。
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