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麻雀インフルエンサー 藤田みさ【ドキュメントM】

 静岡県浜松市の雀荘「Peace」に、藤田みささんというインフルエンサーがいる。フリーも打つが、彼女の人気はセット。彼女とセット麻雀を打つために全国各地から浜松にお客さんが来るという。どうしてそうなったのか? 藤田さんにお話を聞いた。


セットメンツを募集するとすぐに人が集まります

  藤田みささんのX(ツイッター)を見に行くと、こんな書き込みが目立つ。

6/7(金)20:00~ set あと 3 名

6/8(土)20:00〜 set あと 3 名

そしてしばらくすると、

「金曜日のセット枠埋まりました! あとは土曜日2人のみです! DMお待ちしております」

という書き込みが出る。

これは、藤田さんと麻雀を打つメンツの募集だ。やり取りはすべて、XのDM(ダイレクトメッセージ)機能を使い、藤田さん自身とやり取りして決める。日時を藤田さんが提示すると、枠は先着順。先行予約も随時受付中で、だいたいすぐに埋まってしまうという。

場所は固定で、雀荘「Peace」と決まっている。JR浜松駅から遠州鉄道の最後尾に乗って一駅。「第一通り」駅で降りて右側の道を線路沿いに少し戻ると、数分もしないうちにたどり着く。遠鉄に乗らないで浜松駅からまっすぐ遠鉄の線路沿いに歩いても5分とかからない。藤田さんに会えるのは、今のところこの「Peace」だけだ。

 「DMは毎日30件以上来ます。既存のお客さんが15件、新規のお客さんが15件くらいで、やり取りする相手はどんどん増えています。

私、さびしがり屋なのでお客様とのやり取りは全然苦じゃないんですよ。1回来てくれた人とはずっと連絡取ってますし、常連さんたちとは他愛のない雑談のラインもします。

私は毎週日・月・木はフリーのインフルエンサーで、セット麻雀は金・土。火・水が休日です。

セットの募集は毎週日曜日に発信していますけど、だいたいすぐに埋まります。ルールはメンツが決まってからみんなで相談、なるべく初心者のかたに合わせるようにしています。

私の顔を見たいからと言って、セット枠に入らなくてもフリー打ちに来てくれる人もいますよ。あ、見たいのは胸かもしれません(笑)」

藤田さんのフォロワーは6月10日現在で約3万8千人。麻雀プロでもなく、場所固定で麻雀を打っている女子が、どうしてこれほど人気を集めているのだろうか?

1枚の水着写真が人生を変えた

 2023年の初夏、23歳の藤田さんは静岡県の牧之原というところに住み、アルバイトをしていた。両親は離婚して、母方の親戚との同居。高校を卒業してからはスナックやキャバクラでも働いたが、その後スーパーでお惣菜を調理する仕事に就いていた。

ある日、ふと思いついて家で水着を着て自撮りして、ツイッターに上げてみた。ちなみに場所は台所で、修正は何も加えていない。これにリツイートが1万件以上ついた。いわゆる「バズった」という状態。

当時あげた写真

「もともとフォロワーは800人くらいだったんですけど、1日で5000人も増えてびっくりしました」

その後も何度か水着の写真を投稿し、そのたびにどんどんフォロワーが増えていった。

 藤田さんはアイドルに憧れたこともあったという。

「中学生の時に3か月くらいアイドル事務所に所属していたことがありました。AKBが大好きで、ドン・キホーテの屋上でイベントがあった時に見に行ったりもしました。でも、学校と両立するのが難しくてすぐにやめてしまいました」

ところが水着写真がバズったことで「ファンクラブを作りたい」という人も出てきた。

「そんなふうに言われると、アイドルになりたかった頃のことを思い出しました。AKBに入るのは無理でも、地下アイドルくらいにはなれないかなあと思っていたので」

アイドルとして注目を浴びたいという藤田さんの気持ちは、意外なところで実現への扉が開いた。「麻雀」である。

母の友人が経営する雀荘でゲスト活動

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