井出洋介語る24「団体に入ればすぐにプロ」というのをやめてほしい
麻雀の世界が広がりすごいチャンスが
僕は長年にわたって、30年以上前から「賭けない麻雀」の普及のためにいろいろな活動をしてきた。その僕が今、麻雀界はすごいチャンスだと感じている。
子供たちの間にも麻雀が急速に広まっている。埼玉県春日部市にある松美高等学園(小・中・高がある)では、約2年前に公認の部活動として「健康麻雀部」が発足した。
このように、麻雀の世界はいろいろなチャンスがあり、可能性が広がっている。
ではそれに対して、麻雀プロはどうだろうか?
プロはクオリティが大事なのに逆行していないか
僕は、「麻雀プロ」と名乗る以上はクオリティが重要だと思っている。でも現状は、それに逆行しているように思える。
まず、プロ団体のテストを受けて合格し、団体に所属した段階で「プロです」とSNSなどで名乗るのはやめてほしい。
たとえば将棋なら、まず奨励会に入って三段まで上がって、三段リーグで勝って四段になって初めて、プロ棋士を名乗ることができる。そして将棋連盟から給料ももらえるようになる。
大相撲でも、十両に上がって初めて関取で、幕下以下には給料は出ない。
麻雀も、プロ団体に所属しただけでは「プロ」と名乗るべきではないと思っている。
「目標はMリーガーになること」という人も多いようだが、Mリーガーに保証されている年収は400万円。それで喜んでいいのか。
勿論、今の若者はMリーガーになって、人気が出て、さらにYouTubeやノーレート雀荘、テレビなどで引っ張りだこになりお金を稼げるようになりたい、つまり400万で満足してるわけでなく、Mリーグを武器にその何倍も稼ぐことを目標にしているかもしれない。だが、そもそもすぐにMリーグに入れることなどなく、まずそれまでにどんな準備が必要なのかを考えてほしい。
Mリーガーになるためには、ただタイトルを取ればよいというものではない。麻雀プロには、麻雀のプロとしての技量がなくてはならない。
僕が20代のときに出場した名人戦は、「週刊大衆」を発行している双葉社が開催していた。私が名人になってから、当時3つあった麻雀団体、「プロ連盟」「最高位戦」「101」でプロ予選を行い、勝ち上がった6名程度が出場できるようなシステムを提案した。
僕が名人位を取る以前は、漫画家の福地泡介さん、作家の花登筐さんや映画監督の長谷川和彦さんなど、麻雀プロではない雀豪と呼ばれる有名人たちが「名人」になっていた。
僕は「これではいけない、麻雀のプロは麻雀が強いということを示さなくてはいけない」という思いを持って戦いに臨んだ。
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