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「ミスと呼べるのは」文・佐々木寿人

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 全体牌譜はMリーグ2022-23シーズン開幕戦、南四局2本場4巡目のものである。
 アガリトップの私は、自風のをポンして前巡にテンパイ。
 そこにを持ってきた場面である。
 「なんで1,4に受け替えないの?引き算打法なんじゃないの?」
 帰宅するなり妻が問うてきた。
 1,4ならアガリがあり、そのままなら放銃の未来が待ち受けていたこともあったのだろう。
 私はこの六、九のノベタンを続行し、アガリを逃した。
 しかしながらこの選択を、この先10年も悔いるほどのミスとは考えてはいない。

 各者がまだ端牌を整理している段階である。
 そんな中どこに判断材料を求めるかと言われれば、やはり萩原選手の第一打に目がいくのはごく自然だと思うのだ。
 つまりは、二人でを捲り合っているような感覚である。
 実際にはこのとき既に九は山になく、が一枚残りという状況だった。
 一方で、1,4は4枚残り。
 ただ、こればかりはわかりようがない。
 結果的にを引いてはいたが、これが明らかなミスとは思えないのだ。
 そうであるなら引きずる必要はないし、また条件に合わせた手を作ればいい。
 もしこのゲームにミスがあったとするなら、それは寧ろ次局の方である。

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