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醍醐さんって実は…【文・友添敏之】
教える立場の醍醐さんには悪いんだけど
「これよく鳴いたねえ!」
「点数状況的に僕はコレなら迷わず鳴くし、鳴いた方が得じゃないっすか?」
「いやいや、これ降りてたらトップけっこう獲れるじゃない?鳴くのはかなり損だと思うよ」
「3着目と20000点以上離れてるからもし放銃しても着落ちはほとんどないし、放銃してもオーラスで再逆転も狙えるからここで決めに行く方が良いと思って押してます」
「でも聴牌してないじゃん?」
「今はしてないっすけどね」
「それなのに4枚も5枚も無筋押してたらそりゃ損だよ」
これはVS研での醍醐さんと僕のやり取りだ。
実績も実力も超絶上の大先輩とでも、こんなふうにディスカッションできるってのがプロの研究会の一番のメリット。
だから遠慮してすぐに引き下がってしまって、聞いてばかりになるのは余りにももったいない。
B1リーグの僕にとって、考えが違ったこーゆー時こそ納得できるまで強者の思考を深堀りするチャンスなのです。
こんなチャンスは滅多にねえ!ってことで、器のでかい先輩たちに甘えながら僕はいつも2歩くらい踏み込んでディスカッションさせてもらっておるのです。
つーことで、(教える立場の醍醐さんには悪いんだけど)もう少しこのやり取りは続く。
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西家聖誠さんのリーチに対して、北家有賀さんが切った一発目の北をポンして打9m。
その後も、僕は7m、3s、5sとツモ切りで押し続けて、12巡目の2mで5200は5800を放銃した。
友「リーチに対してて無筋を一気に4枚掴んでボカッと全て捨てなきゃいけないとしたら僕も押さないっすけどね」
醍「だったら損じゃん。仕掛けたら当分は押すルートになる見込みが高いんだし、都合良く聴牌することの方が少ないんだから。」
友「いや、それとこれとはまた別の話じゃないですか。何枚も押さなきゃいけなくなるかどうかは、北ポンした瞬間には確定してないっすもん。こんなに押すことになるのが決まってたら降りてますよさすがに」
醍「まあそれはそうだよね。それと、北ポンした後は両脇からは南はかなり出にくいしね。」
友「それもわかるんですけど…。ここからこの半荘の着落ちはほぼなくて自分の手は高くて、アガったらかなりトップ確定する。リーチは捨て牌の不自然さからも持ち点からも打点はあるだろうけど、かなり作り込んだ手だろうから待ちは悪いことの方が多いくらいだし、ある程度押してもそんなに当たらないってのもあります」
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醍「でも当たってるじゃん」
友「(確かに!笑)いやそーですけどね!これが損だって言い切れる理由ってなんですか?」
醍「そんなのちょっと考えれば分かるじゃん?自分はノーテンでラス前トップ目。振り込まなければかなりトップ率あるんだからさ。これ放銃したら2着目喜んじゃうでしょ?すごくシンプルなんだよ」
友「それは勿論そうなんですけど、その前提がある中で押すのが損だって結論付けられるのは何でなんですかね?」
注:全然ケンカしてません
この後もやり取りは続いたんやけど、途中から聖誠さんも有賀さんも黙って来てて飽きてきてるムードがありありと漂っていたのでこの議論は終わりとなった。
醍醐さんは根気強く説明してくれたんやけど、この日の僕は自分の選択の方が得なんじゃないかなと思ってた。でもこれで良いんすよね。
本当にどっちが得かを突き詰めるのはめっちゃ難しい。
とゆーか、不可能なこともたくさんある。
だから、研究会では考えを出し合って、それを検討しまくって答えが出るのがベストだけど、そうならなくても事実から導き出す結論に各々が納得すればそれで良いのである。
自分の正しさを押し通したり論破したりする必要はないんよね。
結果として僕はイーシャンテンのまま聖誠さんに5800点を支払った。
迎えたオーラス、醍醐さんが6巡目にサクッとラス牌の1000オールをツモって僕の逆転条件がちょっと厳しくなって…
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1本場には聖誠さんの追っ掛けリーチを受けながらも、ニギニギニギ!と盲牌して有賀さんが8pをツモった。
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もうこの「ニギニギニギ」で絶対高い手やん!って思ったけど、開けてみたらリーチツモ三暗刻ドラ3の立派なハネマン様でした。
こうして僕は3着落ち。
「聖誠さんのリーチに放銃しても着落ちほとんどないんやしアーダラコーダラ」
とのたまっていた僕は、トップどころかスムーズに3着でフィニッシュした。
醍醐さんの言う通りになっちまったやないか!
いやあまりにも導入が長くなっちまった。
これもう本編とゆーか、中盤から終盤に差し掛かるエリアに片足突っ込んでる。
金本さんのサジ加減次第ではもうここは有料エリアかもしれない。
導入なのに、はは。
でもまあ仕方ない。
書き出し当初の予定通り一旦進めてみようと思う。
変な感じしてもまあそのまま読み進めてみてください。
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最強戦も負けたし、さあ練習すんぞ練習!
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