特別対談/土田浩翔×朝倉康心①「Mリーグの成功と麻雀プロの課題」
特別対談「土田浩翔×朝倉康心」。
かつて麻雀界の第一線で活躍を続けてきた2人は、現在は解説者としてトッププロの麻雀を分析し、選手たちのすごさを伝える立場としても活動している。
2人の目に、今の麻雀界やMリーグはどのように映っているのか。そして解説者だからこそ見えるもの、麻雀界の未来に至るまで、大いに語り合ってもらった。【全3回】
■メジャーになってきたMリーグに、選手の意識はついてきているか
-お二人はそれぞれの立場で、Mリーグを見てこられました。
土田 始まった6年前は、麻雀はメジャー競技にならないと思っていたんですよ。どれくらい続くのかも半信半疑なところがありましたけど、6年経って、本当にメジャーになってきました。ただ、そうして世の中に広まっていくところに対して、選手のみなさんの意識がどのくらいついてきているのか、という懸念はあります。
朝倉 選手の多くは、Mリーグがないころにプロになってひたすら麻雀を打ってきた人たちなので、そもそも今のようにキラキラした世界でやっていくことを目指していたわけではないですよね。
自分にとってはそこのギャップがかなり大きかったですし、それはみなさんに言えることだと思います。
土田 麻雀の勉強以外に、そういう勉強をしたほうがいいと思うんですよ。スポットライトを浴びる世界で生きていくにはどうすればいいか。立ち振る舞いとかですよね。
-具体的には、どの辺りに対して不満を感じますか。
土田 SNSの使い方ですよね。
朝倉 大変申し訳ございません・・・(笑)。
土田 麻雀界って、今までは狭い世界だったじゃないですか。でも、Mリーグは世に出ている部分が多いので、一般の麻雀プロの世界を知らない人たちがファンになってきていることを汲んで、メジャーな発信をしていったほうがいいんじゃないかと思います。
朝倉 Mリーガーの中でも、メジャーに向けての発信力がある人とそうでない人の差はかなりありますよね。岡田さん、萩原さん、伊達さんなんかは一般層に向けても認知度が高まっていて、そういう人はメジャー向きの振る舞いができていると思うんですよ。でも、業務連絡くらいしか発信しない人もいるわけで。
土田 発信する、しないはその人のポリシーだからいいんですけど、業務連絡一つとってもメジャーっぽくやったほうがいいんじゃないの、という話ね。見られていることを強く意識して振る舞っていったほうがいいんじゃないかと思うんです。そうすることで、Mリーグそのものの格が上がっていくんじゃないかなと。Mリーガーはたった36人しかいないわけですからね。
朝倉 時代が難しいですよね。こういうSNSが発達した時代は誰も経験していないから、何が正解か分からないですから。
行儀良くしているだけが正解というわけではないと思うので。
土田 行儀良くすればいいというものでもなくて、アピールするにはどうしたらいいか。Mリーグをアピールすることも大事だし、あるいは麻雀をアピールすることも大事で、麻雀そのものをPRしていく役割をもっと担ったほうがいいんじゃないかと思うんですよね。麻雀を知らない人はまだまだ多いので。
朝倉 土田さんはそれを最前線でずっとやってこられた人ですものね。
土田 メジャーじゃないから(笑)。あと、麻雀プロは麻雀のことを細かく話しがちですけど、壮大なことを考えている中での反省、みたいな感じで、もしメジャーになっていくつもりがあるなら、大きな括りで考えていったほうがいいのではないかと、強く思いますね。
朝倉 ただ、よく競技とかで「初心者を大事にしろ」っていうじゃないですか。玄人、マニアが勝手に敷居を上げてしまうことで競技そのものをダメにする、みたいなことをよく言われますけど、かといって上を切り捨てていっても結構ダメになっちゃうと思うんですよ。両方をちゃんと見たほうがいいと思っていて、土田さんのおっしゃった初心者、一般向けのメジャーな発信と、マニアックな発信は両立していっていいと思うんですよね。そのバランスは難しいと思いますけど。
土田 どちらも発信していかないといけないですから、大変だと思いますよ。
■今の10代がMリーガーになったときに、時代は変わる
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