高宮プロに憧れてここまで来ました!最強戦全日本プロ予選会【文・後藤咲】
【寝坊】
公園の砂場で麻雀卓を囲んで大三元の一向聴でドキドキしていたらサイレンのような音がなり目が覚めた。
「いい所だったのに…」
隣の部屋からのアラームで目を覚ました私は、自分のアラームでないことに違和感を感じスマホを手に取った。
8時30分。
8時57分発の電車に乗らなければ間に合わない。
麻雀最強戦2022全日本プロ選手権の予選の日だった。
どうしよう…どうしよう…!
寝ぼけた頭で考えた。
シャワーを3分で済ましドライヤーを2分ですれば間に合う!
急いでシャワーをして髪の毛を乾かし服を着て忘れ物がないかの確認をし、慌てて家を出た。
【高宮プロとの出会い】
5年前、私はパチンコ屋のコンパニオンをしていた。飴などをお客様に配ったりする仕事だ。
ある日運命が変わる出会いを果たす。
その日はそのパチンコ屋に高宮まりプロ来店の日で、コンパニオンの私がお供するという仕事だった。
幼い頃から麻雀の存在は知っていたが、実際に打つことはなくルールも知らなかった。
初めて麻雀を打ったのは18歳の頃。
付き合っていた彼氏がやっていたというありきたりな理由だ。
彼氏に追いつきたく、ゲームセンターに通い麻雀格闘倶楽部をよくしていた。その為麻雀プロも数人知っていて、高宮プロのことも知っていた。
だが、その彼と別れてからは麻雀とは無縁の生活を送っていた。
好きな人の好きなことは得意としたいが、別れてからは麻雀をしなくなった。
そこからは給料が高いという理由でパチンコ屋のコンパニオンの仕事をしていた。
そこで高宮プロと初めて出会った。
小柄で可愛くて優しく話しかけてくれた。
私も何か話題をと、麻雀の話をした。
「私も麻雀好きなんです!」
そしたら高宮プロは
「麻雀好きなら麻雀プロにならない?」
と言ったのだ。
「麻雀プロ!カッコイイ!なります!」
半ば社交辞令で返事をした。
ところが高宮プロは仕事後に麻雀プロになるにはと本格的に話をして下さった。
少し焦った。今更引き下がれない。
とりあえず言ったからには目指そう。
正直そんな軽い気持ちだった。
そこからは3時間で日当15000円(時給5000円)のパチンコ屋のコンパニオンの仕事を辞め、時給1300円の雀荘で働き始めた。
麻雀プロを目指すために。
高宮プロともう一度会うために。
難しくて分からない点数計算を必死に覚え、役を覚え、清一色の待ちを練習し二言目には「もう辞めたい」と泣きじゃくりながらも日本プロ麻雀連盟中部本部で試験を受けた。
無事合格した。
【東京へ】
地元名古屋でプロ活動をし、プロになって1年で最強戦ガールズにも選ばれ、モチベーションも高まっていった。
2019年麻雀麻雀最強戦
最初は苦痛の時間が多かった麻雀もプロの活動も、やればやるほど夢中になった。
麻雀プロになり、いつからかあまり乗り気になれなかったタイトル戦への出場も進んで参加した。
名古屋から東京へ対局のために新幹線で通い、負けた時は帰りの新幹線の中で泣きながら帰った。
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