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「女だから」「ちやほやされるから」かつて言われた女性軽視の言葉。そして感じた「なんでこの人と私が同じプロなんだ」。変わりゆく麻雀界とそれを打破するための闘い。二階堂亜樹・茅森早香対談スペシャル企画(2)

近代麻雀note・Mリーガー対談スペシャル企画。二階堂亜樹と茅森早香は麻雀プロとして20年以上のキャリアがある。今でこそ女性プロが増え、男性プロとも互角以上に渡り合うプロも増えてきたが、性別によって辛く嫌な思いをすることも少なくなかった当時の麻雀界を語る。(全3回の2回目/#1#3へ)
[文・東川亮]

■偏見を打ち破るのは、女性プロの活躍

――お二人がプロになった頃は、まだ女性の麻雀プロが少ない時代でした。女性ゆえの風当たりの強さなどは感じましたか。

亜樹 私に直接何かを言ってくる人はいなかったですけど、聞く話だと結構ひどい話とかも多かったです。たとえば、「女流プロとかは一般社会でモテないけど、女流というだけでちやほやされるから麻雀界に入ってきたんだろう」とか、麻雀がまだ拙い子に対して「何の目的で麻雀プロになったのか」「麻雀下手なのに何でプロになったの?」みたいな。

 でもそれって、女だけじゃないじゃんと私は思うんですよね。男性でも女性プロより下手な人はいっぱいいるし。そういうことを言うと波風を立ててしまうので別に何も言わなかったんですけど、自分がというより女流全体のレベルを底上げして、活躍してくる女流プロが出てくれば、そういうことも言われなくなるだろうなとは思っていました。

 強い女流プロが増えてほしかったですし、今は徐々にそうなってきつつあるので、現状には満足とまではいかないですけど、満足できるような世界にはなってきているという感じです。今は20代30代の女流ですごく麻雀が強い子が増えてきているので、それはすごくいいことだと思います。

茅森 私は特にないですけど、でも最高位戦に女流合格という合格枠ができてからは、点数計算も分からないのに入ってくる人がいたので、それに対して何か言っている男性プロの方はいました。

亜樹 実際、ここでは話せないようなこともいっぱいありましたし、いろいろひどい話も聞きましたよ。今は、ジェンダー的な問題でいろいろ厳しいので、そういうのがよくないと認識してくれているのか、実況や解説でそういう話をしているのはあまり聞かないですね。

――当時はひどいことを言う方がいたということでしたが、一方で、女性プロを認めていた方はいましたか。

亜樹 小島(武夫)先生は性別関係なく、可愛がってくださいました。たぶん、みんな孫みたいな感覚だったのだと思います。あと、灘(麻太郎)名誉会長は、私のことをすぐ覚えてくださって「女の麻雀じゃない」みたいに認めてくださっていました。

 昔は「女だから」「女流だから」という言い方をする人は本当に多かったんですけど、そういう言い方をしないでひとりのプロとして接してくれる方ももちろんいましたよ。

■点数計算はルールのひとつ。スコアが書けないプロボウラーはいない

――一方で、お二人がまわりの女性プロに思うところはありましたか。

茅森 さっき話した点数計算のところですね。私、一回プロテストで落ちた後に、リーグの欠員補充みたいな感じで最高位戦に入ったんです。でも、当時は女流合格みたいな感じで受かった人もいました。その人たちはたいしてうまくもないし点数計算もおぼつかなくて、「なんで私が落ちてこの人たちが受かってんの?」って思ったことはあります。

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