白鳥翔について【文・長村大】
今年も、モンド杯が開幕した。おれは去年、十数年ぶりに推薦枠として出場させてもらい、今年も引き続き出場することができた。収録自体は年始に終えており、あとは毎週火曜日の放送を残すのみである。
その収録当日、おれを含め続けての出場となった選手、チャレンジマッチや推薦で新しく──あるいは再び──出場することになった選手が控室に集まる。なんだかんだで一年振りに会う選手もいたり、戦いの前とはいえ、和気藹々とした雰囲気ではある。
その中でひときわ楽しそうにしている選手がいた。
そいつはなんの前触れもなく、そして誰にというわけでもなく、そのわりにはやけに大きな声で「やっぱ麻雀めっちゃ楽しいですよね」と言った。
何をかいわんや、だ。だからおれたちは飽きもせずに打ち続けるし、年甲斐もなくムキになる。だが、今さらそんなセリフを吐かない理由に、ある種の照れがないと言い切れるだろうか。
そう、彼に照れはない、あるいはそんなことを意に介さない。年齢的にもキャリア的にも、もう若手といえる選手ではないにも関わらず。いや、なんなら今の麻雀プロ界の最重要人物の一人と言ってもいいだろう。
白鳥翔、である。
ここから先は
820字
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?