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井出洋介語る15 フリー麻雀店「さかえ」との思い出 巷のフリーから先ヅモを一掃した日

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コラムをきっかけにゲストに行くことに

   こうして、noteにいろいろな思い出話を書いているうちに、「あ、この話も皆さんに知ってもらいたいな」と思い出すことがある。今回は、「さかえ」という麻雀店と僕の付き合いについてお話したい。

 さかえのルールは少し変わっていた。当時一番特殊だったのは、赤5筒が1枚入っていて、それが一翻役として数えられることだ。つまり、手牌の中に赤⑤があると、他に役がなくてもアガれるのだ。

 そのルールを始めて聞いた時、僕は「そんなものは麻雀じゃない」と驚いた。

 しかし、さかえはチェーン店としてどんどん全国展開し、店舗を増やしていった。その過程で、店舗で大規模な麻雀大会を企画したのだが、風営法に抵触するとのことで実現できなくなったという話を聞いた。

 その頃、僕は雑誌にコラムを連載していて、その中で「せっかく企画した大きな麻雀大会ができなくなったのは気の毒なことだ」と、さかえを擁護するトーンの文章を書いた。それがさかえの上層部の人の目に留まったらしく、ゲストの依頼が来た。

全国の「さかえ」を回っていて社長と大喧嘩

 さかえとのお付き合いが始まった時、窓口になってくれたのが新松戸にあった雀荘「フラワー」の工藤社長だった。「フラワー」は、店名は違うがさかえの系列店だ。

この工藤社長が競技麻雀のファンで、店舗での麻雀大会のゲストに僕を呼んでくれた。大会を終えて打ち上げに行くと、そこにさかえの社長や専務などお偉方がずらりと勢ぞろいしていて驚いた。

そこで改めて「全国のさかえを回ってほしい」という依頼を受けた。関東に限らず、静岡、広島、九州と広範囲の店舗を回るという破格のオファーだった。

 僕は全国のさかえを回りながら、いろいろな人と麻雀を打った。広島の店舗に行った時、お客さんたちのマナーがとてもよいのが印象的だった。

 ところがその翌日に行った九州の店舗は私にとって最悪、とにかく先ヅモが多いのをはじめ、マナーが悪かったのだ。

 九州の仕事を終えた夜、社長を交えてバーで飲んでいた僕は正直に「広島はよかったけど九州のマナーは悪い」と言ってしまった。社長はこれに対し「先切りは禁止だけど先ヅモは認めているんだ。短時間でゲームを回すためには先ヅモは必要、それで売り上げも年間で何千万円も変わってくる」と力説した。これに対して僕は「そんなことを言っていると、これから先、何千万円どころか何億も損をすることになりますよ」と言い返した。

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