「雀王決定戦は自分の未来を変える最大のチャンス」日本プロ麻雀協会・橘哲也
10月19日は、日本プロ麻雀協会にとって、ある意味で記念すべき、そして1年で最も過酷な1日だった。A1リーグ最終節、同時進行で行われる4卓の戦いの同時配信を行ったのだ。各チャンネルに実況・解説を立て、ある者は決定戦、ある者は残留と、それぞれに違ったものを目指して牌を握るA1リーガーたちの麻雀は、それぞれを応援する声と共に、大きな盛り上がりを見せた。
その中で注目となった決定戦進出争いは、田幸浩、堀慎吾、吉田基成が最終戦を前にほぼその席を確保し、残る1枠には、当日を決定戦ボーダーの4位で迎えた橘哲也が辛くも粘り込んだ。
降級を挟んでおよそ10年、長らくA1リーグで戦い続けてきた橘ではあるが、決定戦進出はこれが初めてとなる。雀王への思い、ファンの期待、一児の父・サラリーマン雀士としての日々、そして今や麻雀界では彼よりもはるかに有名な妻と描く夢・・・決定戦を前に、胸の内を語ってもらった。
■跳ね返された壁を越えて
橘は昨年も、A1リーグ最終節を決定戦ボーダーで迎えていた。自身初の雀王決定戦に進出する最大のチャンスだったが、昨年はそのチャンスを逃してしまった。
「去年は最終日に負けてしまって、逆転されて決定戦に残れませんでした。でも、1年でそのリベンジを達成できたのは、本当に良かったと思います。去年のことは今年1年間戦う中でも、ずっと頭のどこかに残っていました。あの悔しさがあったから今年踏ん張れた、という部分も結構あったと思いますし、僕はずっと雀王になるためにリーグ戦をやってきて、ようやく去年それが具体的に見えそうだというところで阻まれてしまったので、去年感じた壁を今年越えることができた、という意味では、決定戦に残れたうれしさは本当に大きいですね」
最終戦は、同卓の田幸が決定戦濃厚なポジションで、自由に打てる立場だった。逆にボーダー上の橘としてはどうしてもポイント状況を気にしなければならず、不自由を強いられるところも多かった。このようなときは、往々にしてポイントを持つ側が有利になるのがリーグ戦の常である。
「自由に打てる田幸さんがアガリを連発して、僕としてはそこに巻き込まれる形になってしまったので、結構やばいなと思っていました。ただ、各卓でやり合いもある中で、最終戦はラスさえ引かなければだいたい大丈夫、という状況になったんですけど、そこで大きめのラスを引いてしまって・・・内容もあまりよくなかったので、この内容でラスを引いて別卓の渋川にトップを取られていたらもうしょうがないかな、と思っていました」
対局が終わり、橘はすぐにスマホを手にして別卓の状況を確認した。ライバルとなっていた渋川難波は既に対局を終えており、3着。その後、大トップ条件だった宮崎和樹も普通のトップで対局が終わり、橘はギリギリで決定戦に残ることができた。
「雀王になるためにはA1にいないといけないし、A1で上位に入って決定戦に進出しなきゃいけないというステップがある中で、ようやくそのチャンスをつかむところまで来られたのが一番大きいです」
■妻を通じて知ってもらえる機会が増えた
麻雀プロとしては間違いなく実力がある橘だが、彼の妻のほうが、一般の麻雀ファンにとっては有名だろう。彼の妻は、浅見真紀。言わずと知れた、赤坂ドリブンズに所属するMリーガーである。
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