ケネスと付き合った理由【文・ヨメス】
3度目のデートで
3月末の神田川沿い、ケネスと私は出会ってから3度目のデートをしていた。
まだ肌寒く、上着が必要な季節だったが
「俺、上着は11月から2月までしか着ないんだ」といった宣言通り、その日もケネスはアロハだった。
夜桜が綺麗だった。
きっと私たちはこれから付き合うのだろう。
風に吹かれる桜の枝のように、私の心はざわついていた。
「ななちゃん」
突然、ケネスがこちらを、真っ直ぐ見た。
告白がくる!
しかし、実際に先に来たのは告白ではなく、ケネスの湿った唇だった。
こいつ雰囲気でコトを進めようとしている!?
ぐいぐいと近づく唇。
押し留める私。
なぁなぁにしてなるものか。
結婚したい30歳女をなめんな。
「あの!…ケネスさんは私のこと好きなんですか?」
「え?好きだよ」
「じゃあ、どこが好きなんですか?」
ケネスは打牌が早い方である。
しかし、そんなケネスがこの時ばかりはやや長考した。
そして。
優しく微笑んでこう答えたのである。
「メールした感じ、いけそうだと思ったから」
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