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魔神の父のМリーグ観戦記Ⅲ③ 「祝‼やったぞ渋川‼涙の初トップ‼」 2024年10月24日

最近思うこと

 先月の「近代麻雀」のエッセイ「我れ悪党なり(桜井章一)」を読む。東日本大震災の被災者の為に支援物資をトラックに積んで現地に駆けつける桜井さんの姿が目に浮かんだ。心動かされる。その記事の中で目に留まった言葉が一つ。

「麻雀が強いって、何なんだ」

 普段の麻雀でもМリーグでも、私達は強いのが良くて弱いのはダメと考える。確かにそれは分かりやすいし、そう考える根拠ももちろん有る。渋川にしても弱けりゃ首の危険が待ち構えてるのだから。ただし「強い=良い」で思考停止するのはどうなのか。

 高校時代の受験勉強を思い出す。例えば「日本国憲法の三本の柱を答えなさい」という問い。少し勉強している者なら「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」と即答。しかし「基本的人権の尊重って何ですか」となると、答えられる者は激減する。学生時代、尊敬する先生の言葉を思い出す。

「いいか『世界史を学ぶ』んじゃないぞ。『世界史の勉強を通して何を学ぶか』なんだ」

これは麻雀にも当てはまるのではないか。

「『麻雀を学ぶ』んじゃない。『麻雀の勉強を通して何を学ぶか』なんだ」

夕べA荘でみんなが「何切る」をやってた。これ、Mリーグルールでだそうだ。

スタッフの愛ちゃんは「三マン切り」。マンズのくっつきは六マンだけでいいって。剛腕のタッキーさんも三マン切り。こちらは2・3・4の三色狙い。マンズの2・3・4を確定させておいて、②or③ピンと4ソーを引くのだという。うーん、さすがロマン派。フラワー夫妻は仲良く⑤ピン切り。夫のトールさんは消去法。タンヤオ志向で2ソーは持ちたい。マンズは良形で手がかけられない。残ったのは⑤ピンというわけだ。これには私も同意見。頭が確定していないこの形、二マン切りで頭三マン、七マン切りで頭六マンの形は残しておきたい。マンズは打てないね。なんて話をしていると、急にイッケ君が叫ぶ。

「⑤ピン切りはダメです。だって赤⑤ピンを引いたらどうするんです?‼」

そうかМリーグには赤⑤が入ってるんだった。

こんな会話から、それぞれの人達の考えが分かる。そしてその拡がりを味わうことが、いかに楽しいかということを学んでゆく。ただそのためには「麻雀の勉強」自体をいいかげんに考えてはならない。こういうことだな。

2 渋川連続ラス

そんなことを考えながら、渋川の連続ラス(10/16、10/22)を見る。ただこの二つの試合、いいことはたくさん有った。まず内容が良かった。渋川は場面場面で最善を尽くしているということが、私に伝わって来た。だからラスだといってもそんなに嫌な気持ちにはならなかった。それはA荘の住人達にも同じ様な思いを持っていただいたようだ。


例えば10/16の試合での最大の山場。親の渋川7巡目でこの手牌。選択4つ。

A ③ピン切りだま 出あがり7700+300 or9600+300 (堀さん推奨)

B ③ピン切りリーチ 出あがり最低12000+300

C ②ピン切りだま 出あがり9600+300or12000+300 (内川さん推奨)

D ②ピン切りリーチ 出あがり最低12000東1  

渋川はCを選択。結果裏目を引いて逆に満貫放銃となる。これは難しいな。何が正解なんだ。しかもこの局、南がテンパイの剛さんのところへ。剛さん、これを止めて降りちまったぞ。タッキーさんが言い切る。「どうしようもない時はどうしようもない」と。

10/22の試合では、唯一の放銃が白ドラ3のテンパイ打牌。ゼロ君やモトカ君がこう言ってくれた。「しっかり打っててあの結果。全く仕方がない」と。

この2回のラスは観戦者にも(いい試合を見た)というプラスの思いをもたらしたはずだと思うのだ。

3 渋川涙の初トップ

とは言え、やっぱりトップは欲しい。考えてみると、渋川、Мリーグ・Мトーナメントで、半年以上トップが無いのだ。渋川ラスの日は大変だ。妻とは何事もなかったように会話をする訳だが、どうしても不自然になる。そこでできるだけ顔を合わせないようにしてしまうわけだが、それがまた不自然なのだ。

10/26は油断をしていた。渋川は10/22出たばかりなので、出番は無いと思っていたのだ。それに第1試合のメンツが凄すぎた。

当然試合も沸騰。東4局。ドラ⑨ピンをポンした親の多井さんに中を鳴かせた堀さん。3フーロの多井さんに、イーシャンテンの段階で超危険牌8ソーを切り飛ばし、結果ハネマンをつもあがってしまった。その凄まじい試合の後に、まさかの渋川登場なのだ。私は慌てて応援態勢を整える。

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