トッププロを目指す東大生がそれでいいのか!? 現役東大生プロ雀士・辻本一樹 24歳(文・赤松薫)【ドキュメントM】
麻雀プロには高学歴の人が多いが、日本プロ麻雀連盟36期の辻本一樹(つじもと・いつき)プロは現役の東大生だ、なぜ、東大生が麻雀プロになろうと思ったのか、プロになってこれから何をしようとしているのか、お話を伺った。
灘中で麻雀を覚え浪人中にフリーデビュー
辻本さんは1997年奈良県生まれの24歳。中学受験をして兵庫県神戸市にある有名進学校・灘中学に入学した。ちょうど、阪神電車と近鉄電車がつながり、奈良から神戸へ乗り換えなしで通える環境になっていた。
「麻雀は、中2の時にクラスで流行ったので、覚えました。教室にマットと牌を持ち込んで、机をくっつけて20人くらいで麻雀大会をしたこともあります。『咲』のアニメが流行ったこともあって、中高時代は同級生とよく麻雀をしました。大学もトップのところに行きたくて東大を受験しました。そして1年目落ちたんですけど、先に大学に行った友人と雀荘にセットしに行くようになり、浪人中の5月にはフリーデビューしました。
初めて行った時は5回打って、ラス・3着・ラス・ラス・ラス。大学生になった友人たちがどんどん麻雀が強くなっていくのを見て、自分も麻雀の勉強もしなくちゃ、と思いました」
浪人中は駿台予備校に通っていたが、勉強一辺倒ではなく、アルバイトをしたり、スロットをしたり。
「夏休みに東京に遊びに行きたかったので、寿司屋でアルバイトをしてお金を貯めました。
親には『東京で開催される夏期講習を受けたい』と言って資金を出してもらい、2週間遊びに行きました。夏期講習も受けましたけど、合間に麻雀をしたり、好きなロッテの野球を見に行ったりしました」
2回目の受験で見事、東京大学理科I類に合格。
入学してすぐ、高校時代のラグビー部の先輩と卓を囲んだ。
「24時間麻雀を打って、ボロ負けしました。ポイントで言えば700ポイントくらいのマイナスで、『俺は麻雀が弱い。こんなに弱かったら生きていけない』と思って、ひたすら麻雀を打ち、戦術本なども読むようになりました」
とにかく場数をこなすことが大事、と大学の近くの渋谷の麻雀店で仲間とセットを打つ日々。その時にそこの店長にスカウトされてアルバイトを始め、今に至るまで五年以上続けている。
競技の楽しさに目覚めてプロテストに挑戦
東京大学では、クリエイター集団AnotherVision(アナザービジョン)に所属し、半年に1回の麻雀大会で3連覇を果たした。
「競技や大会の楽しさを知り、麻雀のプロになってみたいという気持ちがわいてきました。子供の時はずっとサッカーとラグビーをやっていて、『プロになりたい』と思ったこともあるのですが、大学生になって現実的に考えたら、自分が一番戦えるのは麻雀じゃないかな、と思いました。プロゲーマーになった先輩にも影響を受けていると思います」
2年生の冬に日本プロ麻雀連盟のプロテストを受け、「育成合格」。育成合格の人はその後半年間の研修を経て、合否が決まる。だが半年後、結果はまさかの不合格。
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