瀬戸熊直樹・佐々木寿人対談スペシャル企画(1) 初めての出会いで瀬戸熊が寿人の麻雀から受けた衝撃。それぞれが知っている相手の強さの秘密と、二人が一番喜びを分かち合ったあの瞬間とは…?
近代麻雀note・Mリーガー対談スペシャル企画。今回は、瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)・佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)による「最強位×鳳凰位」対談をお届けする。共にMリーガーとして活躍するだけでなく、所属する日本プロ麻雀連盟を引っ張る立場。同じ立場、違う目線から見たお互いの姿、そして麻雀界の未来とは。(全3回の1回目/#2、#3へ)
[文・東川亮]
■瀬戸熊直樹から見た佐々木寿人、佐々木寿人から見た瀬戸熊直樹
――お二人が、お互いのことを初めて知ったときのことから教えてください。
寿人 僕は仙台にいたときに「月刊プロ麻雀」という雑誌で瀬戸熊さんを見たのが最初で、当時はめっちゃ痩せていて、「すごく強い人なんだろうな」と思っていました。
試合を最初に見たのは2005年の鳳凰位(日本プロ麻雀連盟の最高タイトル)の決定戦最終戦で、当時下馬評が高かったのは土田(浩翔)さん、 阿部(孝則)さん、多井(隆晴)さんだったんだけど、瀬戸熊さんが最終戦までトップ目で、やっぱりすごく強い人なんだな、と思ったことを覚えています。
瀬戸熊 僕は風の噂で「すごく強い人がいる」と聞いていました。
当時は新宿のお店で働いていたと思いますけど、そこでめちゃくちゃ勝ちまくっている人がいると評判になっていて、アマチュアなのに近代麻雀でも推されていましたよね。そんな寿人が連盟に入ると聞いて楽しみでしたし、最初のリーグ戦は僕が立会人をやっていたので、それはもう、ガッツリ見ていましたね。
――寿人さんはプロになるときにかなり悩まれていたそうですけど、最終的な決め手ってなんだったんですか。
寿人 相当な人から「なった方がいい」とは言われましたけど、最終的には荒(正義)さんのひと言が大きかったですね。「こんな生活はいつまでも続かない」って言われたんですよ。
当時は若くて「それでも何とか食っていけるだろう」とは思っていたんですけど、実際にはそんなことはなかった。
荒さんは僕と同じような生き方をしていた大先輩で、一番身近で追いかけていた背中だったので、その荒さんが言うなら間違いないだろう、っていうことですね。
――瀬戸熊さんは寿人さんの麻雀を実際に見て、いかがでしたか。
瀬戸熊 とにかく打牌が早いのと、連盟の公式ルール(一発・裏なし、赤なし)だけど、鳴きまくるんですよ。毎回1000点2000点でアガりまくっていて、僕は連盟公式ルールは打点を作るゲームという認識があったので、すごく衝撃的でした。
今は雀風が変わりましたけど、当時はとにかく全局参加、目にも止まらぬ打牌をするし、すごいと思って見ていました。当時は後輩や新人を後ろ見することなんてまずなかったんですけど、すごい人が入ってきた、という認識があったんでしょうね。
――そのとき、寿人さんは見られている意識はありましたか。
寿人 瀬戸熊さんというより、ギャラリーは多かったんですよね。リーグはD2スタートでしたけど、人より違うスタートなんだろうなと思っていました。漫画とかにもなって、知られていたので。
――鳴り物入りでのプロ入りですが、プレッシャーはありましたか。
寿人 多少はもちろんありましたね。やるからにはしっかり勝っていかないと、と思いました。
■二人が探りあう、それぞれの強さの秘密
――お二人は一緒に食事をするなどして、話をされるようなことはあるのでしょうか。
寿人 めったにいかないですね。
瀬戸熊 そうだね。寿人と一番長々と話をするのはたぶん、MONDOの収録の帰り。電車が一緒で、そこが一番多いかな。
――どういう話を。
瀬戸熊 だいたい試合のことですね。特に、僕がモンド杯に出ていたときは寿人が勝ちまくっているシーズンだったので、いろいろ話してきました。
その中で、寿人の強さの秘密をちょっとずつ分かるわけですけど。
――強さの秘密とは、どういうところなのでしょうか。
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