魔神の父のМリーグ観戦記 2022年11月28日
大人の対応
先月学生時代の友人達と、山口県の角島(つのしま)や元乃隅神社(もとのすみじんじゃ)に行ってきた。
特に角島ではこれまで私が食べた中で一番美味しいと思える海鮮丼を頂いた。そのことを妻に話すと、今度友達とそこに旅行に行くからプランを作ってよ、と言う。
実は私の趣味は旅行のプラン作りである。
時々、プランを作ることを目的に旅行してるのかと思えることもある。
で、今回もこれならいいだろうというプランを作って妻に渡した。
ところが何日か後、妻がうかない顔をして私を呼ぶ。
妻「このプランだけど」
私「良い計画だろ」
妻「うん、計画は良いんだけど」
私「どうした?」
妻「この日、天気予報で雨になっているの」
私「・・・・」
妻「あなたが関わると、いつもこうなのよね」
私「・・・・」(そんなことはないし、大体日にちは妻が決めたんだぞ)
妻「まあしかたないけど、今度からはちゃんとしてね」
私「うん、次からは気をつけるよ(どうやって‼)」
と大人の対応をして無事にしのぐ。
まあ旅行であの海鮮丼を食べれば機嫌も治るさ。
しかし、なんということか、妻と友人がルンルン気分で海鮮丼のお店に行ってみると、その日は定休日だったというのである。
うー・・・・これはやらかしてしまった・・・。
ともあれ今日は妻は居ない。
ゆっくりテレビでMリーグを見られる。
しかし、ん?どうやったらアベマテレビが映るんだ?えーっ、このスイッチ、どうなってる!いつも操作は妻がやってるからさっぱり分からない。
あーだめだ。しかたない、今夜もパソコンで見るか。
どうせ今日は渋川は出ないだろうし。
黒沢咲さん登場
第1試合は堀さんがまさかのラス。
負けるな堀さん、連投で勝負だ、と思っていたら、な、なんと、第2戦は渋川。
結構頻度高いな。大丈夫か?
他の選手は・・・。
園田さんに伊達さん、後一人は・・・えっ!何と黒沢さんではないか。
あの11月7日にこてんぱてんにされた因縁の相手。
これはリベンジせねばなるまい。
実は私は友人に勧められて、ちょうど「渚のリーチ!」を読んだところだった。題名から、海辺で若者達がワイワイ麻雀している青春物を想像していた。しかしそれは全く違っていた。
この作品は一人の女性プロ雀士の実に素直なモノローグである。
私が最も印象に残った場面、それは作者が自分のイメージとして「強気なヴィーナス」ではなく「強気のヴィーナス」を選んだくだりである。
「強気な」というごく普通の形容動詞ではなく、文法としては破格の「強気の」を選択。
そのセンスもさることながら、私はそのこだわりに感動した。
「こだわり」とは、その場・相手・事柄等々をどれほど大切に考えているかの証である。
以前、高校演劇部の生徒達の舞台準備を見学したことがある。そこでは何人かの生徒が、小道具のドアの取っ手の向きや位置を時間をかけて修正していた。私はつい、それってそんなに大事なの、とつまらないことを聞いてしまっていた。すると生徒はちゃんと答えてくれた。
「小道具って凄く大切なんです。小道具がいい加減な劇って、見てられません」
このこだわりは、彼らが劇をどれほど大事に思っているかの証であった。「この世界の片隅に」や三谷幸喜さんの映画作品のいくつかには、エンドロールに工夫がなされているものがある。
これらを見ると、観客を最後まで飽きさせまいとする作成者のこだわりを感じ、私はとても温かい気持ちになる。
麻雀における黒沢さんのこだわりは何か?イメージとしては門前高打点なのだが。
この試合でも
こんな配牌を13巡目には
ここまでに仕上げてしまう。これは確かに強烈な魅力だ。
ただ私は思う。
昔吊り出しが得意な明武谷という力士がいた。
彼が相手を吊ると、観客はめちゃ喜ぶ。
しかしだからといって彼は決して吊り出しにこだわっているわけではなかった。自然にそうなった時に吊るだけなのだ。
黒沢さんの場合はどうなのか。
門前高打点にとらわれすぎているのではないのか?しかし本を読み進めるうちに、それは杞憂だと分かった。
彼女が門前高打点にとらわれているというのは、私の勝手な思い込みだった。
―私は、私の美しいと信じる麻雀を打つ。そして勝つー(黒沢咲)
すばらしい。彼女が「こだわり」を持つ場所は、ここだったのだ。
プロの一打
さて試合開始。東場はほとんど園田さんのあがりで一方的なリード。
迎えた南場に入って伊達さんが、満貫をツモ上がり急追。
勝負は二人の争いかと思われた南3局10巡目、渋川に「思い切った一打」が出る。
この場面、皆さんなら何を切る?
私だったら、と言うよりほとんどの人はもちろん西か北だろう。
点棒は20000点を切っているラス前の南家だ。普通なら目一杯に構える所だ。
少し話を飛ばす。
麻雀誌では昔「プロらしい一打」とは何かがよく話題になっていた。
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