【非公式】2020年期補習所考査「決算実務と開示」解答例
注意事項
・内容の正確性について
本ノートの内容が正確であることについて、筆者は最善の努力を尽くしますが、必ずしも正確であることを保証することはできません。
また、本ノートの内容が不正確であったために利用者が何らかの不利益を被った場合、筆者は責任を負いかねますので、各自の責任でご利用ください。
・本ノートの著作権について
本ノートについて著作権者の許可として私の許可が必要な利用を行う場合、以下の条件を全て満たす限り、私の許可があったものとみなします。(ここで言う利用には、編集および再頒布を含みます。なお、引用その他の著作権者の許可を必要としない利用については、以下の条件に拘らず当然に可能です。)
1. (コピーレフト)
二次著作物について、本ノートと同等の条件を満たす利用の場合、著作権者の許可があったとみなすこと。
2. (無償提供)
二次著作物を他者に提供する場合は、無償で行うこと。
3. (不適切な編集の禁止)
著しく不適切な編集等を行わないこと。当該編集には、明らかに誤った内容への編集や利用者に不利益を与えることを目的とした編集を含みます。
4. (盗作の禁止)
二次著作物の提供に際して、原著作者が自身であるかのような表現を行わないこと。
5. (法令等の順守)
原著作物が規制の対象となる各種法令や契約等について、二次著作物の提供に際しても当該法令・規則等を順守すること。これには、原著作物中の適法な引用について、二次著作物についても同様に適法な引用を行うことを含みます。
参照したリソース
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企業内容等の開示に関する内閣府令第三号様式
https://elaws.e-gov.go.jp/data/348M50000040005_20220129_504M60000002006/pict/S48F03401000005_2106141506_009.pdf
金融庁「令和3年度 有価証券報告書レビューの実施について」https://www.fsa.go.jp/news/r2/sonota/20210408/02.pdf
金融庁「EDINETについて」
https://www.fsa.go.jp/search/20130917.html
東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領等」
https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/format/summary/tvdivq0000004wuh-att/tvdivq000000up10.pdf
問1
答え
ア|×:経営指標
イ|×:関係会社
ウ|×:事業等
エ|〇
オ|×:状況
カ|×:投資等
キ|×:提出会社
ク|〇
根拠
企業内容等の開示に関する内閣府令第三号様式による。
問2
答え
①レビュー
②テーマ
③訂正報告書
根拠
①②は金融庁「令和3年度 有価証券報告書レビューの実施について」p3の記載がほとんどそのまま採用されている。
③は、有報の記載誤りがあった場合に提出するものという文脈から、金融証券取引法24条の2より訂正報告書がもっともらしいと考えられる。
問3
解答例
決算発表が必要とされるのは、有価証券報告書等の法定開示に先立って決算の内容を迅速に開示し、また、業績予想等の将来予測情報を提供することで、投資判断の基礎となる重要な会社情報の提供を投資者に対し適時かつ十分に行うためである。
根拠
東京証券取引所は、
としている。にもかかわらず決算短信等に監査等を求めない理由として、
としている。また、将来予測情報(業績予想など)の積極的な開示を求める理由として、
としている。以上を端的にまとめた文章を記述する。
問4
答え
①イ:3
②カ:EDINET
③コ:財務諸表等規則
④サ:会社法
⑤ソ:45
⑥コ:財務諸表等規則
⑦テ:ディスクロージャー
⑧ソ:45
⑨シ:30
根拠
①金融証券取引法24条の規定による。
②金融証券取引法27条の30の3第1項
にある「開示用電子情報処理組織」とはEDINETを指す(金融庁「EDINETについて」)。
③財務諸表等規則1条の規定による。
④会社法435条の規定による。
⑤金融証券取引法24条の4の7の規定による。
⑥東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領等p.31より、連結財務諸表等規則に基づく連結財務諸表の添付が求められている。
⑦文法上、「迅速な〇〇の観点(≒迅速に○○を行うために)」に妥当するのは「チ:会計監査」か「テ:ディスクロージャー」しかない。ここで、
・決算発表が早期化されても、会計監査の迅速化には役立たない(単に期日が早まるにすぎない)
・決算発表における開示資料である決算短信は、会計監査を要求されない
ことから、「チ:会計監査」は文脈上不適切なので、消去法で「テ:ディスクロージャー」が答えとなる。
⑧⑨東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領等」p.3による。
問(監査領域)
解答例
B:大会社かどうかの判定は最終事業年度の計算書類に基づく。すなわち、甲社は2021年3月期の株主総会での計算書類の承認をもって2022年3月期から大会社となる。したがって、2022年3月期より会計監査人による監査が必要になる。
根拠
会社法2条6項から大会社の判定は最終事業年度の貸借対照表(計算書類の一部)に基づく。
ここで、「最終事業年度の計算書類」とは株主総会の承認を受けた最後の計算書類を指す(会社法2条24項)。つまり、前期の計算書類が大会社の要件を満たすかによって当期の会計監査人の要否が判断されることになる。
これを踏まえると、はじめて200億円以上の負債が計上されるのは2021年3月期の計算書類であるから、前期の計算書類に200億円以上の負債が計上されるのは2022年3月期からということになる。
したがって、甲社に会計監査人による監査が求められるのは、2022年3月期からとなる。
なお、会計監査人設置会社においては取締役会の承認をもって最終事業年度の計算書類となる(会社法2条24項かっこ書き)が、甲社は会計監査人設置会社ではないから考慮しなくてよい。