【非公式】2020年期補習所考査「職業倫理」解答例

注意事項

・内容の正確性について
 本ノートの内容が正確であることについて、筆者は最善の努力を尽くしますが、必ずしも正確であることを保証することはできません。
 また、本ノートの内容が不正確であったために利用者が何らかの不利益を被った場合、筆者は責任を負いかねますので、各自の責任でご利用ください。
・本ノートの著作権について
 本ノートについて著作権者の許可として私の許可が必要な利用を行う場合、以下の条件を全て満たす限り、私の許可があったものとみなします。(ここで言う利用には、編集および再頒布を含みます。なお、引用その他の著作権者の許可を必要としない利用については、以下の条件に拘らず当然に可能です。)
1. (コピーレフト)
 二次著作物について、本ノートと同等の条件を満たす利用の場合、著作権者の許可があったとみなすこと。
2. (無償提供)
 二次著作物を他者に提供する場合は、無償で行うこと。
3. (不適切な編集の禁止)
 著しく不適切な編集等を行わないこと。当該編集には、明らかに誤った内容への編集や利用者に不利益を与えることを目的とした編集を含みます。
4. (盗作の禁止)
 二次著作物の提供に際して、原著作者が自身であるかのような表現を行わないこと。
5. (法令等の順守)
 原著作物が規制の対象となる各種法令や契約等について、二次著作物の提供に際しても当該法令・規則等を順守すること。これには、原著作物中の適法な引用について、二次著作物についても同様に適法な引用を行うことを含みます。

参照したリソース

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公認会計士協会「倫理規則」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/2-22-0-2-20190618.pdf

公認会計士協会「3. 品質管理レビュー制度」
https://jicpa.or.jp/about/activity/self-regulatory/quality/

公認会計士協会「「倫理規則」、「違法行為への対応に関する指針」及び「職業倫理に関する解釈指針」の改正に関する概要(企業等所属の会員に対する規定等の改正)」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/files/0-22-0-4b-20190329_1.pdf


問1-1

解答例
誠実性の原則
 常に誠実に行動しなければならない。また、重要な虚偽又は誤解を招く陳述が含まれる情報などについて、そのような情報であると認識しながら、その作成や開示に関与してはならない。 
公正性の原則
 職業的専門家としての判断又は業務上の判断を行うに当たり、先入観をもたず、 利益相反を回避し、また他の者からの不当な影響に屈せず、常に公正な立場を堅持しなければならない。
職業的専門家としての能力及び正当な注意の原則
 適切な専門業務を提供できるよう、職業的専門家としての能力を必要とされる水準に維持しなければならない。 また、専門業務を提供するに当たって、基準等を遵守し、職業的専門家としての正当な注意を払わなければならない。
守秘義務の原則
 正当な理由なく、業務上知り得た情報を他の者に漏洩し、又は自己若しくは第三者の利益のために利用してはならない。
職業的専門家としての行動の原則
 常に職業的専門家としての自覚を持ち、職業的専門家としての基準及び法令等を遵守しなければならない。また、会員全体の信用を傷つけ、あるいは不名誉となるような行為を行ってはならない。

根拠
倫理規則3条~7条の各条の1項(必要なら2項も)を(必要なら要約して)記述する。

問1-2

答え
・誠実性の原則
・職業的専門家としての行動の原則

根拠
下記の通り。
ただし、この注解を知らずとも、重要な虚偽等のある情報の開示は違法行為になる場合があること、違法行為への対応は法令遵守の一環であることを考えれば、問1-1の解答例と照らして解答できる。

新規の依頼人と契約を締結する際、依頼人の違法行為、不正行為若しくは不適切な財務報告等への関与又はその他の倫理に反する行動により、会計事務所等所属の会員の誠実性又は職業的専門家としての行動の原則の遵守を阻害する要因を生じさせる可能性がある。

倫理規則注解12(第14条)

問1-3

答え
①セーフガード
②監査役等

根拠

(基本原則間の相反する状況又は関係の解消)
第9条 会員は、基本原則間の相反する状況又は関係を認識した場合には、その相反する状況又は関係を速やかに是正するために、セーフガードを適用しなければならない。
2 基本原則間の相反する状況又は関係が、ある組織に関連する、又は組織内でのものである場合、会員はその組織の監査役等と協議すべきかどうかを判断しなければならない。

倫理規則9条1項2項

問2-1

解答例
公認会計士の使命は国民経済の健全な発展に寄与することであることから、個々の依頼人や雇用主の要請を満たすだけでなく社会に貢献しなければ、社会から期待された責任を果たすことはできないため。

根拠
以下の二つを踏まえつつ、「社会に貢献する」というキーワードを盛り込んで記述する。

(公認会計士の使命)
第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

公認会計士法1条

会員の使命は、上述のとおり、国民経済の健全な発展に寄与することとされており、個々の依頼人や雇用主の要請を満たすだけでは、社会から期待された責任を果たすことはできない。

倫理規則前書き「倫理規則の趣旨及び精神」

問2-2

解答例
公認会計士は、独立した立場において会社等の公正な事業活動、投資家及び債権者の保護を図るという職責を有する。その職責を果たすために遵守すべき倫理の規範としての役割を、倫理規則が果たしている。

根拠
前掲の公認会計士法第1条と倫理規則を踏まえて記述する。

日本公認会計士協会(以下「本会」という。)は、会員がその社会的役割を自覚し、自らを律し、かつ、社会の期待に応え、公共の利益に資することができるよう、その職責を果たすために遵守すべき倫理の規範として、ここに倫理規則を定める。

倫理規則前書き「倫理規則の趣旨及び精神」

問2-3-1

解答例
職業的専門家としての能力及び正当な注意の原則を遵守するという観点から、公認会計士資格の取得後も研鑽を重ねることで職業的専門家として必要とされる能力を維持することが必要であるため、その一環として継続的専門研修が義務付けられていることには意義がある。

根拠
問1-1で解答した内容を踏まえ、CPE制度と職業的専門家としての能力及び正当な注意の原則とを関連付けて記載する。

問2-3-2

解答例
監査業務の公共性を考えれば、監査業務の質的水準の維持向上を図り、監査に対する社会的信頼を維持・確保することが必要であるから、監査の品質管理の状況をレビューすることにはそれらに資するという点で意義がある。

根拠
品質管理レビュー制度の趣旨を踏まえて記載する。

日本公認会計士協会(以下「協会」という。)では、監査業務の公共性に鑑み、監査業務の適切な質的水準の維持、向上を図り、監査に対する社会的信頼を維持、確保することを目的として、監査法人又は公認会計士(以下「監査事務所」という。)が行う監査の品質管理の状況をレビューする制度(品質管理レビュー制度)を公認会計士法の下で自主規制として導入し、1999年度から実施しています。

公認会計士協会「3. 品質管理レビュー制度」

問3-1

答え
①②③④⑤

根拠
下記を踏まえて、倫理規則2章にのみ記載のある項目を選択する。
16条:現任会員との交代
20条:セカンド・オピニオン
22条:成功報酬
25条:広告
27条:依頼人の資産の保管

第2章は会計事務所等所属の会員に適用し、第3章は企業等所属の会員に適用するが、第3章の特定の状況が、会計事務所等所属の会員にも当てはまる場合がある。

倫理規則前書き「職業倫理の規範体系について」


問3-2

解答例
違法行為の阻止、是正、影響の軽減、または未然の防止に資するという観点からは、財務諸表の調製その他の所属する組織における専門業務の実施に際しても適切に違法行為の対応を行うことが期待されるから、企業等所属の会員にも違法行為対応指針に規定が定められた。

根拠
下記を踏まえつつ、企業等所属の会員にも規定が定められた理由を記述する。

この規定の導入により、職業会計士は、違法行為又はその疑いに対して見て見ぬふりをせず、もし気付いた場合で、違法行為が発生した、若しくは発生し得ると認識し、又はその疑いを持ったときには、依頼人又は所属する組織の経営者及び適切な場合には監査役等と協議を行うことなどにより、経営者又は監査役等が、違法行為又はその疑いを阻止若しくは是正し、又はそれらの影響を軽減し、まだ発生していない場合には違法行為を未然に防ぐことに資するよう行動することが期待されている。

改正概要
2. 「違法行為への対応」に関する規定の改正 (1) 改正の背景