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【後編】デザイナー小林氏に聞く!こだわりのデザインに込められたKINJO JAPANの魅力とは?

前編に引き続き!KINJO JAPANのブランド立ち上げからグラスのデザインまで、一緒に手がけていただいた小林 新也さんへのインタビュー第二弾!
後編は大きさやカラーの異なる各製品について詳しく解説いただきます!

>>前編はこちら

KINJO JAPAN初めての「カラー」バージョン

KINJO JAPAN E1(キンジョウブルー)を屋外においたシーン
KINJO JAPAN E1(キンジョウブルー)を屋外においたシーン

水田:2022年には同じE1シリーズから、キンジョウブルーもリリースすることができました。改めて、色のコンセプトや想いをお教えください。

小林:カラー展開のイメージは、立ち上げ当初よりありました。
通常のシリコーン製品は、原色に近いカラフルで安っぽいイメージのものが多い印象でした。そこでKINJO JAPANでは、カラー展開においてもガラス製品にあるような見た目の色にこだわり「ガラスに見えたけどシリコーンだった!」というギャップを大事にしたいと思いました。

KINJO JAPAN E1(キンジョウブルー)に水を注いでいる様子
KINJO JAPAN E1(キンジョウブルー)に水を注いでいる様子

そしてカラーバージョン第一弾として、錦城護謨のロゴマークや工場の壁の色、作業服などにも用いられている、錦城らしさを表現できるブルーを選びました。名前もあえてキンジョウブルーとつけています。

ガラスでは真似できない2つのグラスをアンバランスに重ねた様子
ガラスでは真似できない2つのグラスをアンバランスに重ねた様子

ブランドを体現する存在『KINJO JAPAN F2』

KINJO JAPAN F2と包装箱
KINJO JAPAN F2と包装箱

水田:そういう意味では、香りを楽しむグラスとしてキンジョウブルーと同年に発売した「KINJO JAPAN F2」も大きなチャレンジですよね。

小林:そうですね。KINJO JAPAN E1の「E」には、「Every(いつでも、どこでも、誰でも)」という意味を込め、これからいろいろなサイズ展開をしていきたいと思っています。一方でKINJO JAPAN F2の「F」には、「Face」の意味を込め、KINJO JAPANブランドのフラッグシップモデルとしてブランドを体現する存在であることをあらわしました。

抜けるギリギリのラインを攻める

KINJO JAPAN F2に赤ワインを注いでいる様子
KINJO JAPAN F2に赤ワインを注いでいる様子

水田:「香りを楽しむグラス」KINJO JAPAN F2も、かなりフォルムにはこだわりましたよね。

小林:
はい。KINJO JAPAN F2は“ワイングラスのような”製品をイメージしました。ワイングラスといえば、香りを滞留させる“真ん中の膨らみと、すぼまった飲み口”が特徴です。
ガラスで作られたワイングラスであれば、職人がガラスを吹いてこのかたちを作り上げるイメージがつくかと思います。しかし、内側と外側2つの金型を用いてかたちをつくるゴムならではの製造方法では、ガラスのように“膨らます”ことはできません。それをイメージしたとき、ワイングラスのような膨らみと飲み口を再現しようとすると、グラスが内側の金型から抜けなくなってしまうことがイメージできますでしょうか。

そんな金型ならではの条件があるなか、内側の金型から製品を抜き出す高圧の空気を入れる工程において、抜けるギリギリのラインまで攻めたデザインにしました。

金型から抜く前のイメージ KINJO JAPAN E1の場合
金型から抜く前のイメージ KINJO JAPAN E1の場合

難題が導いた必然的なデザイン

KINJO JAPAN F2のボウル部分の膨らみに注目
KINJO JAPAN F2のボウル部分の膨らみに注目

小林:F2製造の実現性が問われる一番の難題は、グラスの膨らみ部分にあたる外側の金型をどのようにデザインするかでした。
そして導いた答えは、金型の接合部分を一番膨らみのある部分に持ってくる逆転の発想でした。通常金型の接合部分のラインについてはE1ですでに経験済みだったので、クオリティの高さは理解していました。だからこそ、思い切って膨らみの頂点にラインが来るように金型接合部分を持っていきました。

本来なら安っぽくみえてしまう接合部分のラインをデザインの最も目立つ意匠にしたことは、製造過程で出てしまうデメリットをメリットにしたオリジナリティの高いデザインといえます。逆にいうと、この素材の製造時の特性を活かした必然的なデザインであると思います。

彫刻の発想で生みだした独自のステム部分

芸術作品のようなステム部分
芸術作品のようなステム部分

水田:ワイングラスというと細い脚が特徴にも思いますが、今のデザインになったきっかけを教えてください。

小林:本当はワイングラスのような細い脚をイメージしましたが、シリコーンでは柔らかすぎて自立できません。
このグラスをどうにかして自立できるデザインにしたかったのと、E1の底面のような「クリスタル感」をどう出せるかを考えていました。そこで、彫刻と同じ発想で、一つのブロックから削り出すように表現したらクリスタル感が出るなと思いつきました。

水田:中を空洞にした理由もありますよね。

クリスタルのような輝きを感じる底面部分
クリスタルのような輝きを感じる底面部分

小林:はい。彫刻的な美しさはそのままに、持ちやすさを考慮し、質量を落としました。また、空洞にしたことでよりクリスタル感が増したことと、透かして見ると、もうひとつのワイングラスのかたちが見えてくる点も特徴です。

KINJO JAPAN F2を握った様子
KINJO JAPAN F2を握った様子

プロダクトを通じて表現する、挑戦し続ける姿勢

ミーティング風景
ミーティング風景

水田:小林さんは様々なプロダクトデザインをされていますが、共通して大切にされていることはなんでしょうか。

小林『その会社がなぜそれに取り組むのか。』です。そして、その会社が他社より得意とすること、自信があるところに焦点を当て、オリジナリティを引きだすことです。

続けていこうとするといろんな弊害がでてくると思いますが、イノベーティブに取り組まないと継続できません。

僕が常に大切にしていることなのですが、特に達成したからといって安定はなく、挑戦し続けなければなりません。どんどん新しいことにチャレンジしていくことが大切と思っています。
KINJO JAPANというブランドにおいても、プロダクトを通じて錦城護謨が挑戦する姿勢を、手にとっていただく皆さんに伝えていければと思っています。

ドイツ・フランクフルトで開催された国際消費財見本市Ambiente(アンビエンテ)での一枚
ドイツ・フランクフルトで開催された国際消費財見本市Ambiente(アンビエンテ)での一枚

水田:今回は改めて、小林さんだからこそ引き出してもらえた錦城護謨、KINJO JAPANの魅力がたくさんあると感じました。最後に、お客さまへのメッセージをお願いします!

小林:機能的でおもしろい製品なので、シーンを問わず使っていただけたらと思います。製品自体の”ギャップ”が魅力で「オモシロイ」製品でもあるので、ぜひプレゼントにも使っていただけたら嬉しいです!

水田memo)
今回は、デザインの秘密に迫りましたがいかがでしたでしょうか。美しさの裏側には、さまざまな工夫と苦悩があったことを、私たち自身も改めて感じる機会となりました。KINJO JAPANの挑戦はこれからも続きます!
小林さん、ありがとうございました!

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