【前半】デザイナー小林氏に聞く!デザインに込められたKINJO JAPANの魅力とこだわりとは?
こんにちは!錦城護謨(きんじょうごむ)株式会社の水田です。
切子グラスを想起させるフォルムでパッと目を引く高級感がありながら、シリコーンゴムならではの柔軟性や高い機能性を持つ、“割れない”シリコーンロックグラス「KINJO JAPAN E1」。こちらのnoteでは、その魅力をお届けしています。
今回は、そんなグラスのデザインの秘密やそこに込められたストーリーをお届け。KINJO JAPANのブランド立ち上げからグラスのデザインまで幅広く担当いただいた、小林 新也さんにお話を伺いました。
小林さんは合同会社シーラカンス食堂 代表であり、地域の技術や地場産業に対し、アイディアからデザイン・商品開発・ブランディング・海外販路開拓まで多岐にわたり貢献されています。
技術があるからこその、他にはない「グラス」
水田:KINJO JAPANの魅力は、ゴムとは思えない見た目やエッジの効いたデザインにあります。当初、普段多くのゴム製品を目にしている私でさえ、「え!こんなに高級感のある製品になるのか!」と率直に驚きました。
今日は、そんなグラスのデザインについてお伺いしたいのですが、開発当初は、グラスとは決まっていなかったですよね。
小林:そうですね。錦城護謨の技術を使ってプロダクトを開発するにあたり、グラス以外のアイディアも含めて7〜8案考えました。
そのなかで、錦城護謨のみなさんがインナーブランディングを第一の目的としていたこともあり、社員の家に必ずあって家庭で必ず使う物が良いという点でグラスに決定しました。
そのほかゴムに関する知識や技術力に関する話を聞き、今後の取り組み内容を考えるなかで、錦城護謨のもつ技術があるからこそ他にはないグラスをつくれ、今後海外にも錦城護謨の技術を打ち出していきたいと思ったときに、万国共通で使っていただける「グラス」がさらに良いと思いました。
”ギャップ”を生むデザイン
水田:デザインにおいて、小林さんが特に意識されたことはなんでしょうか?
小林:僕としては”ギャップ”をどう生むかをとても大事にしました。
「ゴム」って基本的には機能性重視の素材ですよね。機能性の高い製品は、多くの人に使ってもらうために癖のないデザインにするのが一般的だといわれています。でも今回は、錦城護謨のもつ技術力だからこそできること、そして高透明なシリコーンゴムの素材を使うからこそできることを考えました。
そう思った時に、ゴムの持つ高い機能性と見た目の高級感を組み合わせることで、これまでにない価値を生み出せるのでは?と考えました。
そこから、切子グラスのような洗練さが溢れる見た目なのにシリコーン素材だから割れず、電子レンジも対応可能という、【見た目と素材の面白いギャップが生まれる】デザインになりました。
水田:そこから初めてうまれた製品が、KINJO JAPAN E1(別名:シリコーンロックグラス)ですね。
小林さんは数々の製品をデザインされていますが、このグラスのデザインで初めて「ゴム」という素材を扱ったと思います。特にこだわったポイントや難しさはどこにありましたか?
金型ゆえの苦悩
小林:まずはじめに、完成した製品は初期のモックアップ(サンプル)とはだいぶ変わりましたね。
ゴムでグラスを作るのは、金型に対して液状のシリコーンゴムを注入して成形するという方法です。そのため、実際に金型を作ってみないと、カット面や底面の美しさ・口当たりのよい飲み口の厚みなど、本当に高級感のあるデザインになっているかはわかりませんでした。
初期にあがってきた製品は、理想としていた重量感や高級感において、まだまだこだわれる余地がありました。結果、金型ごと作り直すことになりましたが、錦城護謨の皆さんと妥協をしないものづくりを追求し、現在のフォルムやカット面の美しさを出すことができました。
▶︎ 成形に関する詳細は、『KINJO JAPAN誕生ストーリー!vol.2 唯一無二のグラスへの飽くなきこだわり』をご覧ださい!
逆転の発想で、美しさに転換
もう一つ、金型での成形において課題だったのが、2つの金型を重ね合わせることで生まれる接合部分の線でした。その線が目立ってしまうと、どうしてもグラスの高級感が損なわれてしまうんです。
そこで何案もだし悩んだ末、グラスに対して横方向に金型を動かすイメージを持っていた固定概念を取りはらい、縦方向に金型を動かすイメージに変換。金型接合部分をグラスのエッジ(底と飲み口)部分に合わせることにしました。必ずできてしまう線をエッジ部分に持ってくることで、途切れることのない美しい面や、まるでガラスのような鋭利な角を表現することができました。
他の素材では怪我をさせてしまうようなものでも、シリコーンゴムだからこそ生み出せたデザインとなりました。
>>【後半】に続く
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