みんなの自治をめざして。
二日目の朝。朝から母の体調に関する連絡があってバタバタしちょこっとチェックアウトを過ぎた。ひとまず落ち着いているのでドトールでコーヒーを飲みながら頭を落ち着かせる。色々と思うようにはいかないものだ。
僕が住む杉並区の区長である岸本聡子さんの著書をやっと読み終えた。繰り返し噛み締めながら読んだので半年くらいかかった…
心に引っ掛かった箇所をスマホで書き起こしているとしばし現実から離れられた。心配したって何もできないし、他にやるべきことがある時に無闇に心配してしまうのはあまり良いことではない。もう少年ではないのだから。
現実からはなれる、と書いたが心配事に執着することの方が非現実とも言えるかも知れない。
個人の問題と社会の問題はどちらも大切に考えた方がよいと思う。個人の問題に比重を置きすぎてしまいそうな時は、社会のことを考えたって構わないだろう。どちらにせよ問題を解決するために前を向く姿勢が大切なのだ。
以下転載します。
ケン・ローチ監督はこれまでも、名もない労働者階級の家族の姿から、イギリス社会の格差の問題に切り込む作品を発信している。イギリスは世界で新自由主義が最も広く深く染み込んだ国の一つである。この3つの秀作(「家族を想うとき」「パラサイト 半地下の家族」「ジョーカー」)がコロナパンデミック前の2019年に発表されたことは興味深い。コロナ後の社会から見ると、監督たちの感性の鋭さがより際立つ。184p
政治のフェミナイザーションは政治の性質や家庭そのもののあり方を問う。競争ではなく共有を、妥協ではなく共同を、かけひきでなく協力を、政治のやり方や価値にしていこうというフェミニストからの提案である。これを女性的な価値というかどうかは別として、競争とかけひきの政治が女性だけでなく少数者や強くないものを排除しているのは明らかだ。私たちが知っている政治は野心の強い男性とそれ以上に強い女性しか関われない。政治とは生活そのもので、生活者や生きにくい人の視線や声に耳を傾けるもの、そしてそういう人たちが主体的にかかわれるものでなくてはいけない。政治のフェミナイゼーションは、ミュニシパリストの精神や運動と親和性がとても高い。191p
ミュニシパリズムの大切な特徴の一つは、地域の主権を大切にするのと同じくらい、国際主義を大切にしていること。自分たちの地域や国だけが良ければよいのではなく、搾取的な人間と自然、南と北、ジェンダーや人種の関係を根元的に問うエコフェミニズムの思想が重視されている。また強権的な国家や超国家(EU)がじりじりと押し付けてくる、新自由主義で排他的な政策を恐れず、国家を飛び越えて地域と地域がつながることで国家を包囲する強さを養おうという気概も大切な特徴だ。ローカルとグローバルは国家をこえて一気につながることができる。209p
以上
この一冊を読んでみて、岸本さんのことが以前より理解できたように思った。そしていま現在の彼女の姿勢はまさにその通りであってブレてなさそうなのに安心した。
彼女のルーツや活動における視点に共感することはこれまでも度々書いてきたが、決め手となる部分に突き当たったように思う。
そのまんま説明してもわかりづらくなりそうなので一例をぼんやりと挙げてみると、
秘書官が同性婚に対しオフレコで暴言を述べ、それに関連して総理は、認めてしまうと社会が変わってしまうというようなことを発言した。
言いたいことを言う権利はあるけど、それに対し「国民に誤解を与えた」という使い古されたフレーズでとりあえず謝り、ことを済ませようとした。
国民の一人として、政治家のこのような姿勢にはモヤモヤさせられっぱなしだ。
対話の不在だ。
対話によって国民が理解するまで説明する。それができていない。永田町論法とか、インチキな日本語で対話を避ける姿勢にはうんざりだなあ…
岸本聡子さんはこのように書いた。
旧友は「みんなの自治」かなと頭をひねる。なかなかいい。ミュニシパリズムという言葉を使う必要はない。
京都で市民活動をされている旧友にミュニシパリズムの説明をすると、それは私たちのやりたかったことと同じかも知れないと言われた。だがミュニシパリズムという言い方には違和感を覚えるから「みんなの自治」かなと言われての感想の部分だ。
政治にはスローガンとかキャッチフレーズがつきものである。政治家はポスターでガッツポーズを決めるものである。たしかにその方が目に馴染むし分かりやすいだろう。
でもほんとうに大切なのは中身だ。中身をほんとうに理解していれば、言い方が違ってたって構わないし、なんなら主義主張が違ってたっていいのだ。違いを互いに認識、理解していれば相手のことが理解できる。
大切なのは同じことではない。互いに、違いも含めて理解し合うことだ。
そのことをなんとなく知れて良かった。これでやっと新著に取り掛かれる笑
#私がつかんだコモンと民主主義
#岸本聡子
#ミュニシパリズム