異変

ⅯMさんと私の間にできた子はキリストである。
 私はマリア様の生まれ変わり。
 マリーアントワネット、マリリンモンローの生まれ変わり。
交わらずして子を授かる。私まだ処女だった。

 恐怖そのものの妄想だった。
 
 一番大きかったのは死への恐怖だった。
 「迎えにくるよ。」というメッセージが届いていたり、
 町中に私へのメッセージが字や写真で貼り付けられていたり、
私がひまわりの花束を持つと、駅前の掲示板に花束を持った女性の
ポスターが貼られていたり。世界全体が私のことを監視している
ように感じた。

幼稚園の園長先生と喘息で通っている診療所の両サイドから家に電話が入った。
診療所のM田先生が紹介状を書いてくださり、桜町病院に行った。

 私の妄想は自分自身を襲うようになり、不安と恐怖を煽るものだった。泣きながら話している内容も少しおかしなものだった。

桜町病院ではひどい統合失調症で、ここでは診れません。といわれ、
再び紹介状を書いてもらった。

 躁状態だった私は入院させてくれると知って一人で静かになりたいと思った。強い薬を服用したので、妄想も消えた。

 9月だった。発病してから3ヶ月が過ぎていた。

 入院は任意入院だったので、すぐに退院して休職し、1年間家で
静養することになった。

 薬が効いてくると妄想や、気分の浮き沈みは無くなった。その代わり無気力と欝状態になった。

 テレビや音も受け付けず、指を動かしたりするのも、呼吸するのも辛かった。空気が岩のように硬かった。体が鉛のように重く、理由もなく辛かった。

 この状況から逃げ出したかった。

 別の場所に行って気の紛れることでもしたら助かるかもしれないと思った。

 体が少し動くようになると、無性に物が食べたくなった。常になにかを口にしてないと落ち着かなかった。いつまでもむしゃむしゃと食べ続けた。

 体重がどんどん増えていったので、動ける時は散歩にも行ったが
足を上げるのも一苦労だった。

 親や友人は私のことを心配してくれていたけれど、接し方は以前と変わらずに接してくれたので、返ってありがたかった。

 両親、親戚、友人、この人たちが私を救ってくれた。

 私は復職すればなんとか光が射すかもしれないと希望を抱いていた。

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